マクロスF
0695話
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」
「簡単に言うな! 出来るんならとっくにやってる!」
「そんな……」
「冗談じゃないわよ」
ランカとシェリルが呟くが、それからとった行動は別だった。ランカは不安そうにアルトを見上げ、シェリルは入って来た入り口の方へと進んで行く。
……しょうがない、か。
「待て」
俺の隣を通り過ぎようとしたシェリルの手を取る。
「何よ! 私は諦めない、こんな所で絶対に死にたくないの! 私は絶対に諦めない。皆は私を幸運だって言うわ。でもそれに見合う努力はしてきたつもりよ。だからあたしはシェリル・ノームでいられるの。運命ってのは、そうやって掴み取るものなのよ」
「正解だ。だから、とにかく落ち着け。俺が決してお前を殺させはしない」
「……アクセル?」
俺の声に満ちている確信が余程意外だったのだろう。思わずといった様子で俺の方へと視線を向けてくるシェリルの手を掴んだまま、アルトとランカの方へと視線を向ける。
「お前達2人もこっちに来い。これからここを脱出する」
「けど、どうやって! 外は真空なんだぞ! ここにはアクセルが乗れるようなEX-ギアも、ましてやVF-25だって無いんだ!」
「それでもどうにかしてやるから、いいからこっちに来い」
「……分かったよ。どうせこのままだと窒息死しかないんだ。それならどんな手段を持っているのかは分からないが、お前に賭けてみるさ。ランカ」
「う、うん」
ランカもアルトの言葉に従い、俺の近くに移動してくる。
「アクセル、どうするつもりなの?」
「何、俺にはちょっとした魔法が使えてな。それを使えばこんなのどうにでもなるのさ」
敢えて軽い口調で告げられた言葉に、シェリルが首を傾げている。まぁ、この世界に生きている者には意味が分からないだろうからな。俺にしてもこんな場所で魔法を使う気は無かったが、だからといってシェリル達をこんな場所で死なせるようなつもりもない。影のゲートを使えば問題無く……
非常電源の薄暗い中では俺以外に誰も気が付かなかっただろう。だが、確実に俺の足下には影が集まり、ゲートを開き……
『シェリル、大丈夫ですね?』
待避壕の中に、そんな声が響くのだった。同時に入り口が開け放たれ、そこにはシェリルのお付きとしてコンサートで見た女が2人……
「グレイス!」
シェリルの喜びの声が響き、結局俺は影のゲートを使う事無くこの窮地をどうにか脱する事が出来たのだった。
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