2ndA‘s編
第十話〜闇の帳〜
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海鳴市・郊外の森
目を開ける前に、覚醒した意識が体の重さを認識する。次に感じるのは寒さと、冷えた所為で体の節々が発する痛み。そして最後に感じたのは、生身である顔に当たる草の感触と土の匂いと混ざった青臭さだった。
「ッ」
鈍さと重さを押し退けるように、ゆっくりとした動作でライは俯いた状態で倒れていた身体を動かした。
「マスター、お加減は?」
長時間、冬の寒さの中で気絶していたことから、凝り固まっていた身体を揉むようにして解し始めると、胸のペンダント――デバイスの蒼月から音声が発せられた。
「念話の使用を。ここは管理外せ――――」
高圧的な物言いをしそうになった時、ライはソレに気付く。
辺りが異様に静かで、そして海鳴市の市街の方から大きな魔力が猛っていることに。その魔力は、魔導師としては未熟なライにも感じられるレベルであり、その量は出鱈目であった。
「――何があった。手短に説明しろ」
夜天の書の彼女と夢で会っていた最後に起きた現象を思い出し、ライは身体を解すのを止め、魔力を感じる市街の方に足を向ける。そして移動を開始すると同時に、自分よりも状況を知っているであろう、相方に説明を求めた。
「マスターが倒れた後、ザフィーラ様はこの場をすぐに離れました」
(……加勢のためか)
蒼月の言葉で、自分が気絶する直前の問答を思い出す。彼の正直な反応を信じるのであれば、あの時別の場所で残りのヴォルケンリッターであるシグナムとヴィータは、未だ蒐集対象であるなのは達と戦闘をしていた筈だ。そして、ライを連れ去る、若しくは止めをさす事をしなかったのを考えると、自ずと答えは出る。
「その後、今向かっている方面からベルカ式隔絶型の結界を観測。そしてしばらく時間が経過し、今に至ります」
蒼月の報告を聞くまでもなく、嫌な感覚はライの中で大きくなっていく。報告が続かない事を確認すると、ライは足を動かす速度を上げた。
海鳴市・市街地
酷く濁った煙のような雲が空を覆っている。
その空は、大人に暗澹とした何かを連想させ、子供は雪が降るかもしれないという期待を抱かせる。
そして今、その場に存在する結界という名の空間には不安を更に大きくするように人の姿がなくなってしまっている。
魔法と言う非常識に弾き出された人々は知らない。ここで何が起きようとしているのか、そしてそれが何をもたらすのか。
「ハァ……ハァ………………クソ!」
そしてその騒動の中心に存在するのは、未だ年端もいかない子供達である。
市街の高層ビルの屋上。そこには、バリアジャケットを纏った四人の子供の姿がある。その内の三人は女の子と若い女性であり、その三人は気絶した状態で、屋上のコンクリ
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