5話:SPEC〜凶〜 壱
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構える。
常人がこのような真似をしても役に立たないが、モノの死が視える眼―――直死の魔眼を有する式にとっては食器用のナイフでもあるかないかでは大きく違う。
式にとって幸運だったのは、転送先がよく知っている場所だったことだろう。
そして、ついに“それ”の姿が露わになり―――――――
「ゆっくりしていってね!!」
――――――第一声を発した。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
二人と一匹の間に沈黙が走る。
式は表情を殆ど変えなかったが、内心は動揺しているのだろう。ピクリとも動かない。
瀬文はあまりの展開に思考が停止し、ただただポカーンと口を開いたままの状態を数秒間続けている。
「・・・なんだお前は?」
以外にも沈黙を破ったのは式だった。
「支給品のゆっくり魔理沙だぜ。生首じゃなくて大福だぜ」
「・・・もういいや」
わずか二、三の会話をしただけでツッコミどころがたくさん出てきた。
その容姿は間の抜けた顔をした金髪ロングの少女の生首にしか見えず、口調は見事な棒読みだ。
「待て、支給品なら殺し合いや主催について何か知ってないか?」
瀬文がゆっくり魔理沙に詰め寄る。
「いや、私は知らないうちに連れてこられていつの間にかバックに詰められてたんだ。申し訳ないけど何も知らないぜ」
そのゆるい姿とは正反対にきっちりとした態度で答える。棒読み口調は相変わらずだったが。
「じゃあ、誰に連れてこられたのかは?」
「わからない。まったく心当たりが無いんだぜ。なんで支給品にされたのかもわからないぜ。自分で言うのもなんだけど、あまり役に立つとも思えないし」
mugenに参戦したから多少戦えはするけど、と。
「そうか・・・」
mugenてなんだと聞こうとしたが、あまり役に立つ情報とは思えないので放っておいた。瀬文は式のほうを見る。ゆっくり魔理沙には興味を無くしたのか自分のデイパックを漁り残りの支給品を確認していた。刀子のような刃物に、巨大な鋏。
刀子の方は気に入ったのか様々な角度からまじまじと見て、嬉しそうな表情をしている。
一方の巨大な鋏は見るなりなんだこりゃ、と呟いてすぐにテーブルに投げるようにして置いた。そして鋏の中心の螺旋に向かって、刀子を振り下ろした。
瞬間、瀬文はかつて無いほど大きな殺気を式の方から感じた。
殺気は一瞬で消えたが、瀬文のほうは式を凝視せざるを得なかった。そんな視線に気づいたのか式は瀬文を見て口を開く。
「ん、なんだ?」
「い、いや・・・その、それは一体・・・?」
瀬文の指差した巨大な鋏だったモノは螺子を破壊され、ただの二つの刃物に分解されていた。
「ああ。これ、二つのナイフを無理矢理螺子
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