第十六話 黒蘭の力その十一
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「こんな生物は有り得ないって」
「それはですか」
「やっぱりそうなりますか」
「あんな人間と動物の合いの子は」
「普通はいないんですね」
「うん、自然では絶対に生まれないと言っていたよ」
そうだというのだった。
「人工的、しかも今の普通にある技術で生まれたものじゃないってね」
「じゃあどういう存在なんですか?」
向日葵が智和に具体的に尋ねた。
「怪人は」
「うん、人間と動物の遺伝子を混合させてね」
「そうして生み出されたものですか」
「人間ではないね」
「やはりそうですか」
「昔のアニメで巨大で異様な姿でもそのDNAは殆ど人間というものがあったけれど」
そうした存在とは違い、というのだ。
「人間と動物の遺伝子を同時にその中に持っている」
「そうした自然では有り得ない生きものですか」
「そうみたいだよ、怪人は」
「それじゃあ」
そのことを聞いてだ、向日葵は眉を顰めさせて述べた。
「怪人を生み出している場所がありますね」
「間違いなくね」
「自然に出て来ているんじゃないとしたら」
「そう、しかもね」
「しかも?」
「彼等は遺伝子操作で生み出され急激に成長させられているね」
「人造で作られた生物ですか?」
今度は菫が言う。
「それは」
「うん、自然でないしね」
「まあ普通は、ですよね」
菫は自然に生まれる生物のことをここで考えた。このことは今ここにいる面々は全員わかっていることだがどうにも口に出せないことだった。それで菫も口には出さないでこう言って言葉を濁してしまったのである。
「まあ」
「魔術で言うとホムンクルスかな」
智和はこうも言った。
「錬金術の分野になるかも知れないけれど」
「生物的な人造生命体ですね」
ここでこの表現で述べたのは桜だった。
「機械ではなく」
「そうだね、まさに」
「そうですか、だから急激に成長させられて」
「どうやら生み出されてすぐに君達との戦いに赴いているね」
「そのこともわかったんですね」
「うん、あの灰からね」
生物学的な構造だけでなくだ、年齢的なこともわかったというのだ。
「最初から人間並の知能も持っていたし」
「全員言葉普通に使ってますしね」
菊も言う。
「怪人は頭がいいですね」
「そうだね、少なくとも知能は低くないよ」
「間違いなく」
「とりあえずそうしたことはわかったよ」
怪人の生物学的なことは、というのだ。
「自然では絶対に生まれない生きものだね」
「まあ考えてみたらな」
薊も彼等のことについてこう言った。
「あんな連中自然にいないよな」
「絶対にね」
向日葵がその薊に応えてきた。
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