第二幕その五
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「トミーと一緒にしていたから」
「ああ、トミーだね」
「トミーも手伝ってくれてだったんだね」
「それでだったんだ」
馬とオシツオサレツも納得しました、そうしてです。
そうしたお話をしてです、先生達は船の中で食事やティーセットも楽しみました。そうして瀬戸内の中を進んでいってです。
松山に着きました、ポリネシアが船内のそれを知らせるアナウンスを聴いて先生に言いました。
「先生、そろそろよ」
「うん、わかってるよ」
先生はポリネシアに穏やかな笑顔で答えました。
「松山だね」
「ええ、着いたわよ」
「思ったより早いかな」
先生はここでこうも言いました。
「松山まで着いたのは」
「そうかしら」
「うん、もっと時間がかかるかなって思ったけれど」
それが、だったからというのです。
「早かったね」
「船が速かったのかしら」
「そうかも知れないね。さて、それじゃあね」
先生はお部屋にかけてあった帽子を手に取って言いました。
「いよいよだね」
「松山ね」
「論文も発表してね」
「論文もちゃんとトランクに入れておいたわよ」
ガブガブが先生こう言ってきました。見ればガブガブは先生の足元で羽根を広げています。
「あの封筒に入っていた分厚いのよね」
「そう、それだよ。ちゃんと日本語で書いてあったよね」
「封筒の表によね」
「そう、論文ってね」
「ええ、それも確認したわよ」
この辺り流石はガブガブです、抜かりはありません。
「ちゃんとね」
「それじゃあ大丈夫だよ」
「行けるわね、これで」
「何しろ論文を発表する為に松山に来たんだからね」
「それならよね」
「論文がないと話にならないよ」
それこそというのです。
「だから有り難いよ」
「それじゃあね」
「うん、それじゃあね」
「港に着いたら船を降りて」
「松山だよ」
こう話してです、そしてでした。
一行は全員で船から出ました、するとその船の前にです。
一人の背の高いすらりとした人がいました、その人がです。
穏やかで知的な笑顔で、です。先生達に声をかけてきました。
「ドリトル先生ですね」
「はい」
先生は穏やかな笑顔でその人に答えました。
「そうです」
「お待ちしていました、私が先生の応対役を務めさせて頂く加藤という者です」
「加藤さんですか」
「Kです」
ここで、です。加藤さんは笑って自分の頭文字を言いました。
「そう呼んで頂いても結構です」
「いえいえ、それは」
そのKという呼び方はです、先生も知っていてです。
そうしてです、こう言うのでした。
「あまりいいとは思いませんので」
「心、ですね」
「はい、ですから」
「こころは悲しい作品ですからね」
「そうですね、読ませて頂き
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