第1部
第5話 我、本土へ進出ス
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俺の率いるエインヘリアル艦隊では、ある問題が浮上して居た。
「……ですから、弾薬やMSのパーツの類はユグドラシルで自給自足出来ます。
が、問題は燃料であるヘリウム3が確保出来ないと言うこと、この一点に尽きます」
「ふむ、やはりそうなるか……。
重水素は海水からいくらでも採取出来るが、ヘリウム3は地球上では全く採れないからな……」
「はい、ヘリウム3の供給は月と木星船団に殆ど依存している状態でしたから。
仮に月まで行ったとしても、月面プラントの建造には長い時間が掛かりますし……」
鎮守府執務棟の一室を借りて行われている会議は、暗礁に乗り上げていた。
その原因と言うのが、MSや艦艇の燃料となるヘリウム3である。
このヘリウム3、実は地球上では全く採取出来ないのだ。
本来であれば木星船団が木星から持ち帰った物や、月面プラントで精製した物を、木星開発事業団≠ェ連邦軍や各コロニー、企業へ提供しているのだが、この世界には木星船団も無ければ木星開発事業団も存在しない。
つまり、このままだと艦艇は疎か、MSさえ動かせなくなるのだ。
「……ヘリウム3の残量は?」
「MSに限定すれば、1ヶ月に2回大規模な戦闘をしたとして、約1年分です。
ただし、この量には各艦の反応炉用のヘリウム3の残量も含まれます。
それを考慮すると、戦力を維持出来るのは……約半年です」
「……厳しいな」
戦力低下は避けられそうにない。
元の世界に帰る事も、自分達の身を守る事も出来なくなってしまう。
提督として、艦隊司令として、皆を率いる立場に居るにも関わらず、何も出来ない事が不甲斐なく、悔しかった。
「……すまん、俺の力不足で…こんな事に……」
「気にすんなよカズハ、誰もこんな事になるなんて予想出来る訳ねぇだろ。
先日の戦闘も、お前の差配が無けりゃあ俺達はここに腰を落ち着けることも出来なかったんだぜ」
「……ラリー……しかし…」
「大佐の言う通りだ提督、気に病むことは無い」
「ラトロワ……」
「艦隊を維持する為に毎日朝方まで寝る間を惜しんで執務に明け暮れているのを、我々が気づかないとでも思ったか?」
室内の空気が明るくなった。
先頭に立って皆を率いる立場に居る者として、俺が弱気になっていては元も子もない。
「提督、日本帝国軍大本営より入電です」
会議室に入ってきたリンドヴルムのオペレーターが分厚いファイルを手にやって来た。
「先方が動いたか。
大本営はなんと?」
「此方の提示した条件を快諾する…と。
ついては、艦娘受け渡しの為、明日明朝までに日本帝国海軍横浜鎮守府へ向かわれたし…との事です」
「明日か……あれ?
確か明日って……」
「はい、明日から3日間、横浜鎮守府と在日米海軍横須賀基地合同
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