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『八神はやて』は舞い降りた
第3章 聖剣の影で蠢くもの
第30話 コカビエル?強いよね。序盤・中盤・終盤、隙がないと思うよ。
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く自分を永久凍結の刑に処するだろう。
 ただでさえ、堕天使の総数が少なくなっているのだ。
 貴重な戦力である自分をアザゼルは殺すことはないはずだ。
 ただ、心残りもある。


(――大戦に参戦できず、間近でみることも出来ないのは、残念でならないな)


 主戦派は、彼以外のもまだ大勢居る。
 アザゼルによって封印される前に、準備をしなくてはならない。
 あの小娘。
 いや、八神はやてたちが、戦争を始めることを知るのは、おそらく今のところ彼一人。
 秘密裏に事を運ぶ必要がある。


(きっと、今度の戦争は、三大勢力の命運をかけた激しいものになる)


 コカビエルは、逸る気持ちを抑える。
 今にも躍り上がりそうな高揚感が身を包む。


 ――――彼の口元には、自然と笑みが浮かんでいた。





 目の前の堕天使――コカビエルという名の聖剣を奪った主犯者――は、八神はやての取引に応じた。
 木場祐斗と兵藤一誠に敗れたエクソシストたちと聖剣3本に加えて、紫藤イリナたちが保管していた聖剣2本の破片を渡した甲斐があった。


(いや、奴はただの戦争狂だ。戦争のためならば、敵とも手を組むだろう)


 護衛としてはやてに付き添う形になったシグナムは、内心でつぶやく。
 コカビエルに尋ねた理由は、八神はやての父が残した手記の裏を取るためだ。
 彼は、はやての父母と面識があったらしく、かなり詳しい事情まで教えてくれた。
 両親の死の真相まで知っていたのは、運が良かった。
 薄々勘付づいてはいたが、証拠という最後のひと押しが欲しかったのだから。


「――俺が知る事情はこれくらいだな。不抜ける前のアザゼルは、優秀な駒を失ったと嘆いていたよ。だからこそ、裏切り者には見せしめが必要だったのだろうな」

「なるほど。こちらが持つ情報と食い違いはないな。それにしても、はぐれ悪魔の襲撃は、アザゼルの仕業だったとはね」

「策謀にかけてうちの総督の右に出る者はいないだろう。少し前までは、いつ戦争が起こってもおかしくない緊張状態だった。手段を問わぬアザゼルの手腕は頼もしかったものだ。神器狩りもその一環だな。それで、お前はどうするつもりだ。両親の弔い合戦でもするつもりか?」


 あざ笑うかのように。
 だが、どこか期待に満ちた目で、コカビエルは、はやてを見つめる。
 堕天使のあけすけな態度に、シグナムが眉をひそめるが、主本人は気にする様子もない。
 はやては、ゆっくりと言葉を返す。


「弔い合戦、ね。確かに、当たらずとも遠からずといったところかな」

「ならば、他に理由でもあるのか」

「『とある少女』の願いを叶えてあげたくてね。ボクはそのために存在している。使命と
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