月夜見ノ尊
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
シィが申し訳なさそうに口を開いた。
「あ、ゴメンね。つい…」
「気がかりになるな。少々錯愕しただけだ」
「……え?」
「あー…解んねえか、やっぱり。“気にすんな、少し驚いただけだ”…っつったんだろ?」
「肯定する。やはり流石だな、師匠」
「し、師匠!?」
パラゴーネの複雑怪奇な口調は聞いてすぐは理解出来ないものだ。
もう慣れたグレイの通訳を聞いたパラゴーネは嬉しそうに瞳を輝かせ、彼女の師匠呼びにルーが驚いたように目を見開いた。
「そこは気にすんな」と、話すと長くなる為曖昧にすると、グレイは口を開く。
「で……お前等は今回の件の詳しい事、知ってるか?」
「ううん、全然。あたし達が戦った奴…災厄の道化って言ってたっけ?」
「そう。計画の詳しい事知ってるのは、災厄の道化のマスターと作戦参謀だけだって言ってた」
「災厄の道化!?…まあ、血塗れの欲望の傘下だし、いてもおかしくはねえが……パラゴーネ、2人に今回の事教えてやってくれ」
「了解した」
こくっと頷くと、パラゴーネはグレイにしたのと同じ話を2人にもした。
“星竜の巫女”は星竜シュテルロギアの御魂に直接願う権利を持つ事。
その願いがどんなものであろうと、世界を創造した神にも等しいシュテルロギアの手にかかれば何でも叶ってしまう事。
願う権利は巫女1人につき1回で、シャロン達は一族の為に願わせるつもりだという事。
そして――――――願う権利を失った瞬間、ティアはシャロンに殺されるという事も。
「な…何それ……」
「そんな理由でティアは…殺されちゃうかもしれないの!?」
全てを聞き、ルーシィとルーは愕然とした。
“力”を持たず“力”を得た、ただそれだけの話。
それだけで忌み嫌われ、願う事を強要され、殺されるかもしれないなんて――――――。
ぐっ、とルーは拳を握りしめる。
「何で…何でそんな事が出来るんだよ!どうやったらそんな酷い事を思いつくんだよっ!何で!何でだよおおおおっ!」
「ちょ……ルー!怒りたくなる気持ちも解るけど落ち着いて!パラゴーネが困ってるでしょ!」
パラゴーネに対して怒りをぶつけるルーを、ルーシィが必死に宥める。
怯えたように再びグレイの背後に隠れたパラゴーネはくいくい、とグレイの白いコートを引っ張った。
「どうした?」
「遁辞にしか聞こえないだろうが……私は、ティア嬢を利用する気は皆無だった。ただ…その、師匠を駆逐可能なら、それで良かった…から……」
言いにくそうにもごもごと呟く。
言い終え俯いてしまったパラゴーネの言葉が聞こえていたのだろう。
ルーは申し訳なさそうに頬を掻
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ