第132話 山賊退治と新たなる展望
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いものだった。士仁では愛紗の穴を埋めるのは大変なのだろう。
「関羽だったか。どうして関羽は県令の元を出て行ったのだ?」
正宗は直球で愛紗のことを聞き出そうとした。
「いろいろあるんですけど。劉県令は奔放な方で民衆の受けはいいんですけど、政務を疎かにする方なんです。それじゃ政務が滞るからと関羽様が目に隈を作りながら頑張っていたんですけど」
士仁の表情が途端に暗くなった。
「多分、関羽様も心が折れたんだと思います」
士仁は正宗に前置きするように言うと更に表情を暗くする。
「ある日、関羽様の部屋に書き置きがあって『捜さないでください』ってあったんです」
士仁は深いため息をつく。正宗は何と声をかければいいのかわからない表情をしていた。
「『捜さないで』と言われても、捜さない訳にはいかないから必死に捜したんですけど見つかりませんでした。もう臨穎にはいないんじゃないのかなと思います。一時は劉県令も卒倒しそうな位の慌てようでしたけど。最近は関羽様のことを心配している様子ですけど、それをあまり表に出すことはないです。救いは関羽様がいなくなったことで劉県令が真面目に政務を頑張るようになられてことでしょうか。でも賊討伐は」
士仁はまた深いため息をついた。部外者の正宗にいろいろと喋る士仁に驚きたが、士仁の様子から彼女が本当に疲れ果ていることだけはわかった。
士仁が鬱な気分から覚醒する頃、正宗と士仁の周囲では正宗配下の兵士達が賊の死体を処分するために一箇所に集めていた。その光景を見た士仁が不思議そうに眺めていた。
「劉将軍、彼らは何をしているのです?」
「死体をそのままにすると虫がわき疫病の元にから燃やすのだ」
「死体が疫病の原因? 初耳ですが、言われてみれば大きな戦が起こった地域は疫病が流行りますね。劉将軍は博識でいらっしゃる」
士仁は正宗の話を聞き、思い当たることがあったのか自分の中で合点している様子だった。
「ところで劉将軍は潁川郡にどんなご用事で?」
「荊州南陽郡に用があってな。死体の処理を終えたら、この辺りで一泊して荊州に向うつもりだ」
「今日は野営でございますか?」
「三千の兵を街に駐屯などできないからな。村の者達には悪いが、今日はこの近辺に野営するつもりでいる」
「いえいえ、村の者達も劉将軍の軍であれば安心でしょう。村長を呼んできますので暫しお待ちください」
士仁は正宗との話を中断し村の中に戻っていた。それを正宗は見送っていると、麗羽と冥琳が駆け寄ってきた。その後ろを追うように朱里と桂花も駆け寄ってくる。
「正宗様、あの者は?」
「士君義というらしい。それと、この地の県令は桃香だ」
正宗は冥琳の耳元で他の者に聞こえないように囁いた。冥琳は表
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ