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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第12話:おはなみに行こう!−3
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かけにコロナが頷くと、ゲオルグは地面に膝をつく。

「悪いね、時間をとらせて。 で、話って言うのは今朝の話なんだけど、
 コロナちゃんに謝りたいと思ってね」

「謝る、ですか? 今朝のことって、なんでしょう?」

コロナはゲオルグが何について話しているのか理解できず、
何度か目をしばたたかせる。

「コロナちゃんに俺が特殊陸戦部隊の部隊長だと言い当てられたときに
 威圧的な態度をとってしまっただろ」

ゲオルグがそう言うとコロナは自身の記憶を探るように目線をさまよわせ、
しばらくすると思い当たる節に行き当たって、納得したような表情で
ゲオルグの顔に視線を固定した。

「確かにそんなこともありましたけど、そんなに気にしてないですよ」

柔らかな笑みを浮かべてコロナは言う。

「ならいいんだけどね」

対してゲオルグは苦笑しつつ応じた。

「それじゃあ、行こうか。 もうみんな待ってるだろうしね」

ゲオルグは立ち上がりつつそう言うと、コロナはニコッと笑って頷いた。





ところ変わって、地上本部近くの市街地。
夕方で人通りの多い大通りを一人の男が歩いていた。
白っぽいシャツに暗い色調のスラックスをはいた男は、周囲の人々と外見上は
大差がなく、少しボケっとしているような印象の目線も相まって
辺りの光景にすっかり溶け込んでいた。

だが、とある裏路地の前まで来たところでその目線が鋭さを帯び
男はサッと周囲を確認すると、すばやくその身を裏路地へと滑り込ませた。

ビルとビルの間、うす暗くどことなく湿気の高い空間を男は歩いていく。
その足取りは大通りを歩いていたときの気だるげなものとは違って、
きびきびとした足取りに変わっていた。

そして男はビルの背面どうしが向かい合うごく細い空間を通りすぎたところで
その足をピタリと止めて、ビルの壁面に背を預ける。

「・・・ご苦労さま」

「お待たせして申し訳ありません」

「いや、時間通りですよ」

男が通りすぎた細い空間の奥、暗闇の中から黒服を着た別の男が姿を現し
男に声を掛けると、男は黒服の男の方をちらりとも見ることなく
だがすまなそうな表情を浮かべて答えた。

一方、黒服の男の方は男の謝罪に対して感銘を受けた風でもなく
平坦な声で応じた。

「それで、首尾は?」

直前までの平板な口調とはうって変わって、黒服の男の声色に真剣なものが混じる。

「問題なく特殊陸戦部隊の所属となることができました」

黒服の男の問いに男が応えると黒服の男が満足げに頷いた。
ただ、その姿は男の目には届かなかったが。

「結構です。 そのうちに指示を伝えますのでそれまでは動かなくて結構。
 せいぜい部
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