第五話
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嘩へと発展したり、といった具合に。
技はあっても気は合わないかと、一時期本気で解散を考えたこともある。
今の俺のレベルは十四、シーラは十五らしい。
これは、誰ともパーティーを組まずにいる、いわゆるソロプレイヤーたちの平均よりも少し高い数字だ。
故にもちろん、このコンビを解消して二人共ソロプレイヤーになったとしても、十分やっていけるだろう。実際、この第一層をクリアした時にそのことを伝えようとも思っている。
その時、彼女は何と答えるのだろうか。
「ユウ!前っ!」
緊張感を孕んだシーラの一声が、物思いへと沈んでいた俺の意識を戦闘態勢に変えた。反射的に腰の短剣を引き抜く。
「くそッ!三匹もかよ!」
湧出の直後だったらしく、青の光輪を残すモンスター共を一瞥し、俺は悪態をついた。
出現したのは《ルインコボルト・フェンシー》。先のセンチネルの上位版とも言える、片手剣を得物としたモンスターだ。
フェンシーの操る片手剣、斧と比べれば威力は低いが、速度がかなりのもので、しかも時折二連撃のソードスキルを放ってくる。レベル的にも実力的にも、この層最強クラスのモンスターだ。
ただでさえ強力な上に一度に三匹も現れるとは、自分の運が恨めしい。
とはいえ、俺もシーラもだてにレベル上げに邁進してきたわけではない。
最初こそ不意を突かれ焦りもしたが、力押しで一匹目を倒すころにはそれもなくなり、場の流れを二人のコンビネーションで完全に掌握し始めていた。
流れのまま二匹目もポリゴン片に変え、このまま行けば問題ないだろうと、そう思った時だった。
ヴィーン、ヴィーン
突如、俺の耳にいかにもな警告音が鳴り響いた。
「――!!」
反応し、身が硬直する。と、
「クアァァァァァァッ!!」
一瞬明転した眼前に、輝く片手剣を振りかぶったフェンシーの姿が映った。
獰猛な笑みを浮かべる目元、口元。細いが確実に硬く盛り上がる腕。それに支えられた短い直剣。
――避けなければ。
瞬間に、俺の脳はそう叫んだ。指令の一閃が脚を貫く。
この攻撃をくらえば、恐らくヒットポイント全体の二割ほどを持って行かれるだろう。まだまだ残りには余裕があるが、敵に切られることに快感を覚える、といった性癖は残念でもなんでもなく持ち合わせていないので、やはりできるものなら回避しておきたい。回避不可能、なんていう事態ならば話は別だが、この場合はそうではない。右後方へのバックステップ。それだけで簡単に避けることができる。
そう、頭では分かっているのに、いくら念じようとも、俺の四肢は頑なに動こうとしない。警報による本日二度目の不意打ちを、いまだに引きずってしまっている。
何度目ともしれぬ両足
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