暁 〜小説投稿サイト〜
SAO〜刹那の幻影〜
第五話
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
嘩へと発展したり、といった具合に。
 技はあっても気は合わないかと、一時期本気で解散を考えたこともある。
 今の俺のレベルは十四、シーラは十五らしい。
 これは、誰ともパーティーを組まずにいる、いわゆるソロプレイヤーたちの平均よりも少し高い数字だ。
 故にもちろん、このコンビを解消して二人共ソロプレイヤーになったとしても、十分やっていけるだろう。実際、この第一層をクリアした時にそのことを伝えようとも思っている。
 その時、彼女は何と答えるのだろうか。



「ユウ!前っ!」

 緊張感を孕んだシーラの一声が、物思いへと沈んでいた俺の意識を戦闘態勢に変えた。反射的に腰の短剣を引き抜く。

「くそッ!三匹もかよ!」

 湧出(ポップ)の直後だったらしく、青の光輪を残すモンスター共を一瞥し、俺は悪態をついた。
 出現したのは《ルインコボルト・フェンシー》。先のセンチネルの上位版とも言える、片手剣を得物としたモンスターだ。
 フェンシーの操る片手剣、斧と比べれば威力は低いが、速度がかなりのもので、しかも時折二連撃のソードスキルを放ってくる。レベル的にも実力的にも、この層最強クラスのモンスターだ。
 ただでさえ強力な上に一度に三匹も現れるとは、自分の運が恨めしい。



とはいえ、俺もシーラもだてにレベル上げに邁進してきたわけではない。
最初こそ不意を突かれ焦りもしたが、力押しで一匹目を倒すころにはそれもなくなり、場の流れを二人のコンビネーションで完全に掌握し始めていた。
流れのまま二匹目もポリゴン片に変え、このまま行けば問題ないだろうと、そう思った時だった。



 ヴィーン、ヴィーン
 突如、俺の耳にいかにもな警告音が鳴り響いた。

「――!!」

 反応し、身が硬直する。と、

「クアァァァァァァッ!!」

 一瞬明転した眼前に、輝く片手剣を振りかぶったフェンシーの姿が映った。
 獰猛な笑みを浮かべる目元、口元。細いが確実に硬く盛り上がる腕。それに支えられた短い直剣。
 ――避けなければ。
 瞬間に、俺の脳はそう叫んだ。指令の一閃が脚を貫く。
 この攻撃をくらえば、恐らくヒットポイント全体の二割ほどを持って行かれるだろう。まだまだ残りには余裕があるが、敵に切られることに快感を覚える、といった性癖は残念でもなんでもなく持ち合わせていないので、やはりできるものなら回避しておきたい。回避不可能、なんていう事態ならば話は別だが、この場合はそうではない。右後方へのバックステップ。それだけで簡単に避けることができる。
 そう、頭では分かっているのに、いくら念じようとも、俺の四肢は頑なに動こうとしない。警報による本日二度目の不意打ちを、いまだに引きずってしまっている。
 何度目ともしれぬ両足
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ