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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
乙 L
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「なんだか・・・あんな契約書類だったのに、ずいぶん平和的になったわね。」
「最初のゲームには命の危機がありましたけど、それも簡単に回避できましたし。」

鳴央の言う通り、水攻めに会った最初のゲームも命の危機は簡単に回避できた。
手段はごくごく単純なもので、鳴央が水を神隠しに会わせたのだ。それが叶わなかったら、その時は人を石盤ごと神隠しに会わせ、石板を完成させてから戻ってこればいい。とはいえ、ゲームが成り立たなくなるため本当に危険にならない限りは使わない、という結論に至ったため、使っていないのだが。
同様の理由で、白雪もギフトを使っていない。

頭を働かせれば、死ぬ可能性はゼロにまでなるゲーム内容。主催者の名前すら出さずにおこなうゲームとしては、いささか安全すぎる。

そして、今回のゲーム内容は・・・

「お料理、か〜。確か、鳴央お姉さんは得意だったよね?」
「得意、といえるほどのものではないのですけど。」

鳴央はいつも通り謙遜を見せたが、それが嫌味にならないのは彼女の性格ゆえだろう。

「そんなことないわよ。鳴央の料理はおいしいわ。」
「そうでしょうか・・・?」
「うんうんっ!お兄さんの胃袋もがっしりつかめるんじゃないかな?目指せ籠絡!」

その瞬間、鳴央の顔が一気に紅くなる。

「ろろ、籠絡って・・・!?」
「お兄さん、たぶん色仕掛けとかよりもそう言うのの方が効果あるともうよ?」
「確かに、一輝はそんな感じよね・・・あれが色恋沙汰に興味あるのか、そこから謎なんだけど。」

音央がそう言った瞬間、目の前で黒ウサギたちがハムーズと話しているのを放置して三人での話が始まる。

「そう言えば、お兄さんはそこから怪しいかな。大人びてる?」
「いや、あれはむしろ中身結構子供でしょ・・・やりたいことは全部やる方向だし。」
「感情に正直ではありますね。・・・とはいえ、本気で怒ったところは見たことないです。」

音央と鳴央に対して一度怒ったことがあるが、それも本気で怒っていた様子はなかった。二人のいないところで一度キレてもいるのだが、それも自分が原因ではなくレティシアに対するペルセウスの態度にキレたことだ。
そして・・・

「・・・なんだかんだ、あいつって自分のために感情が動くこと少なくないかしら?」
「これまで一緒にいて、そういう傾向にあるのは確かですね。」
「その分、人のことで動くのは多いよね〜。そして、人のために命がけに見えることも平気でしちゃう。|《あのギフトもそうだし》。」

最後にヤシロがつぶやいた言葉が、二人に聞かれることはなかった。
ヤシロは一輝のギフト、『無景物を統べるもの』に発生する代償の頭痛、これの正体が何なのかを知っている・・・というよりは、偶然知ってしまった。
一輝
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