暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇1
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、ファリンが慌てて猫達を捕まえようとする。その隙に、ユーノは近くの森……ジュエルシードの気配がする森の中へと走っていった。
「私、ユーノ君を探してくる!」
 リブロムの入った鞄を片手に、私も慌てて後を追う。光が傍にいるかもしれない。でも今は――大切な親友達を守らなければならない。きっと、光もそれを望んでいるから。




「えっと……。ユーノ君、これは……」
 ジュエルシードを追ってこの世界に辿り着き、早半月。一つだけ、確信した事がある。この世界は魔窟に違いない。そうでなければ、あの恐ろしい魔導師を皮切りに、何故こんなにも恐ろしい相手ばかりが姿を見せるのか。
 この屋敷を訪れてから、散々僕の前に立ちはだかったあの猫を見上げ、呻く。そう。見上げて、だ。ほんの数分前まで体格的には大差なかったその猫は、今や見上げるほどの巨体となって僕らの前に立ちはだかっていた。ちなみに、比喩表現ではない。本当に見上げるほどの巨体になっている。おおよそ間違いなく、ジュエルシードのせいだ。
「……多分、この子の大きくなりたいって願いが叶ったんじゃないかな?」
 ぽかんとした顔で呟くなのはに、自分でもよく分からないまま答える。今さらながらに思う。あの宝石、実はどこか壊れているんじゃないだろうか。
「あの、この子が大きくなりたいっていうのは、多分こう言う意味じゃないと思うの」
 それには力の限り同意したい――が、猫を見る限りどうやら随分とご機嫌のようだ。案外、これでいいのかもしれない。あくまで結果論のような気がしてならないが。
「ま、まぁ、こんなに大きいとさすがにすずかちゃんも困っちゃうだろうし、ささっと封印を……」
 気を取り直して、なのはがレイジングハートを取りだす。確かに、ささっと封印してもらいたい。……僕らの姿を認めた途端、また猫の瞳が爛々と輝き始めた事だし。
 そんな呑気な事を考えていられたのは、そこまでだった。
「にゃあああああっ!?」
 閃光が爆ぜ、猫の悲鳴が響く。明らかに魔力による攻撃。
「何? 何なの?! ひょっとして、光お兄ちゃん!?」
 しかも、撃ったのはなのはではない。もちろん、光でもない。それは、明らかに僕らの魔法だった。となると、一体誰が?
「あそこだ!」
 慌てて視線を巡らせると、近くの木の上にその魔導師はいた。黒いマントを羽織った、金髪の少女。手には、黒いデバイスが握られている。間違いなく、僕らと同じ魔導師だ。
「ジュエルシード、頂いていきます」
 彼女は、静かに僕らに向かって告げた。
「君は何者なんだ!? 何でジュエルシードを狙う?!」
 僕が叫ぶと、少女はほんの一瞬だけ奇妙な表情――例えるなら、ああ、やっぱりとでも言いたげな――を浮かべた……ような気がした。だが、次の瞬間には実際は落ち着き払った声で
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