魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇1
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ってるの?」
隙を見てまたユーノに飛びかかろうとした子猫を抱き止めながら、すずかが言った。彼女が言うのは、リブロムの入ったリュックサックだろう。
「えっと……」
光の相棒の、喋る本が入っています――なんて事は、口が裂けても言えない。本当なら、大切な親友に隠し事などしたくないけれど……自分が魔法使いになった事と同じで言えない事もある。
「光お兄ちゃんから預かってるの。中身は、開けちゃダメって言われてるから分らないけど……」
嘘ではない。少なくとも半分……に、少し欠けるくらいは。それで何とか自分自身を納得させる。
「光から? な〜んか怪しいわね……」
「だ、ダメだよ? 開けないって約束してるんだから!」
目を輝かせるアリサに、慌ててリュックを抱きしめる。
『いいじゃねえか。話し相手くらいにはなるぜ?』
小声で、リブロムが笑う。初めて聞くくらいに、楽しそうな声だった。ああもう、どうしてこの本はこんなに意地悪なのか。そう言う部分は光にそっくりだ。
「あ、アイ君! ダメ――!」
≪ひぃぁあぁぁあぁぁあああッ!?≫
「きゃあ!? ユーノ君!?」
一瞬の隙をついて、すずかが抱いていた子猫がユーノに飛びついた。そして、再び始まる追いかけっこ。
『アイツも大変だねぇ。いや、自業自得か? ヒャハハハハハッ!』
相変わらず無責任なリブロムは放っておいて、私達も慌てて子猫の後を追う。
「お待たせ――ってきゃああああっ!?」
そんなタイミングで、部屋に入ってきたファリンの足の間を縫うように、ユーノと子猫は走りまわり――
「ああ! ファリンさんしっかり!?」
踏まないように、その場でくるくる回る事になったファリンは、そのまま目を回して倒れそうになるからもう大変。みんなでファリンを支え、子猫を捕まえ、ユーノを抱き上げる。大変だったけど――それでも、何だか笑えてきた。ユーノには悪いけれど。
「ああもう……。笑ってる場合じゃないでしょ?」
言いながら、アリサも笑っている。子猫を抱きながら、すずかも笑っていた。
光がいなくなってから――本当に久しぶりにお腹の底から笑った気がする。光が守りたいものはきっとこんな光景なのだ。そう思った。
だから。
≪なのは!≫
ジュエルシードの気配を感じた時、私の心臓は大きく跳ね上がった。嫌でも、街を飲み込んだあの大樹が思い出される。ここで、あれを再現する訳にはいかない。でも、どうすれば? どうすれば不自然なくそこに向かう事が出来る?
≪大丈夫。任せて≫
言うが早いか、ユーノが床に飛び降り、誘うように尻尾を揺らした。途端に、近くでこちらを見ていた猫が彼に跳びかかる。
「きゃああ! また!?」
「ああもう! アンタ達、あれは玩具じゃないんだってば!」
すずかとアリサ――それに
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