魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇1
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たというのにこの言いよう。まったく、このチャンバラ馬鹿には困ったものだ。
「というか、冷静に考えてみろよ。自分の家の庭先で人が死んでいたらかなり嫌だろ?」
当たり前だろうが。何を当たり前の事を言い出すのか――そう告げると、何やら恭也は深刻に頭を抱え始めた。
「そう思うなら、もう少しこう……何とかならないか?」
心配しなくても心臓が止まるのは一番最後だ。最初は、魔力の減衰。続いて悪寒。そして、虚脱感。次に身体に痺れが生じ、五感が狂い始め、その次に身体が徐々に動かなくなり――いずれは完全に動かなくなる。その頃にはまず間違いなく魔法も使えなっているはずだ。そして、最後に心臓が停止する。普通の人間なら、身体が動きにくくなった時点で諦めて引き返すだろう。それに、引き返せば後遺症もなく全てが元通りになる。……もちろん、死んでしまえばその限りではないが。
「ここは、この街で一番危険な場所ってことか……」
一番安全な場所でもある。この屋敷に関係する者たちには作用しないから、姉妹喧嘩やら痴話喧嘩くらいなら心おきなくできるはずだ――告げると、恭也はさらに深々としたため息をついた。
「……お前とは、一度安全っていう言葉の定義について話し合う必要があるらしいな」
そんな馬鹿げた会話をした日から――その異境が、最後まで起動した事はない。それは喜ばしい事だろう。
2
「おっはよ〜! 今日のメシは何だい?」
「おはようございます。あの、何か手伝える事はありますか?」
異界の魔法使い達――アルフとフェイトとの生活が始まって早六日。どうやら、着実に餌付けには成功しているらしい。喜ぶべきかどうなのかは、よく分からないが。
(根が素直だというのは、まぁ、喜ばしい事だろうな)
魔法使いらしからぬが、年相応ではある。取りあえず、それで自分を納得させていた。
「今日はハムエッグとサラダ。あとはコーンスープだ」
もちろん、トーストもつくが。ここ数日の観察結果から、今朝はいわゆる洋食で纏めてみた。二人とも、こちらの方が食べ慣れているようだ。ちなみに、仮にも主食を用意すると言う意味では、正しくは洋食風と言うべきなのかもしれない……が、正直なところ、良く分からない。桃子ならその辺りの細かな違いについても詳しく知っているのだろうが。
「もう一通りできているから、テーブルまで運んでくれるか?」
最後にスープを注ぎながら、フェイトに告げる。
「お前はこれでテーブルを拭いておいてくれ」
ついで、アルフに向かってよく絞った台拭きを放り投げた。本来なら逆の方がいいのだろうが……アルフに任せるとつまみ食いしかねない。いや、別に店で出す訳ではないので、つまみ食いを嫌悪する理由もないが……彼女の場合平気で焼き鮭の半分を喰い齧ったりする。あれにはさすがに驚いた
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