第四章
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第四章
「いやね、ここのお店ですけれど」
「はい」
案内されたのはごく普通の中華料理店だった。見たところその内装は少し古く客もサラリーマンや大学生、それに工事現場から来たと思われるおじさん達と様々だった。皆それぞれ炒飯だのラーメンだの餃子だのを食べている。亜紀が気付いたのは丼や具の大きさであった。
「ここのお店はいいですよ」
「いいのですか」
「はい。量が多くて安くて」
泉水は気さくに亜紀に答えるのだった。
「しかも味もよくて」
「美味しいのですね」
「ええ。学生の頃から馴染みの店なんですよ」
その頃からある店だということだった。確かにその内装はそれだけの古さがある。値札にある料理の値段は確かに安いものだった。
「それで何を頼まれますか?」
「そうですね」
並んでカウンターに座る。そのうえで応える。
「私はチャーシュー麺を」
「では僕は同じものと炒飯を」
「炒飯もですか」
「ここは炒飯が特にいいんですよ」
笑って亜紀に話す。今座っているカウンターも確かに古い。端の方に油の跡があったりする。少し汚い感じだがそれが如何にもこうした古い店に合っていてしかも泉水にも合っているように亜紀には思えた。それが彼女にとっては少し不思議であった。そんなことを考えながら店の中と泉水を見ていた。
「炒飯がですか」
「ええ、そうなんですよ」
また亜紀に話すのだった。
「量も多いですし」
「量もですか」
「一度食べられるといいですよ」
気さくに笑って言葉を続ける。
「是非共ね」
「わかりました。ではまた今度」
「チャーシュー麺もいいですが」
彼はそれもよく食べているらしい。実際に二人の周りではそのチャーシュー麺を食べている大学生と思われる若者がいるが彼は如何にもといった感じでそれを美味そうに食べている。
「それもまたいいんですよ」
「そうですか」
「チャーシュー麺はね」
話はチャーシュー麺に移った。
「玉子麺もいいですしトリガラスープも」
かなりの麺通であるようだ。言葉が講釈めいているが邪気はない。それどころかおっとりした丁寧な話し方でそれが亜紀に心地よい印象を与えていた。
「しかもチャーシューも」
「それもなのですね」
「味も大きさもいいんですよ」
こう亜紀に語る。
「もやしまでもがいい感じで」
「どれもいいんですね」
「ええ、その通りです」
そこまで絶賛するというのなら是非食べてみたい。そう思わせる程の話だった。
「ですから。あっ」
ここでだった。
「来ましたよ」
「お待たせ」
カウンターからチャーシュー麺が来たのだった。それと泉水の分の炒飯までそれは優に大盛り分があった。亜紀はそれを見て何とか食べられるかしらと心の中で思った。
「これですよ。こ
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