第三章
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「しかしそれでもな」
「仕事は、ですよね」
「ちゃんとしろ、さもないとな」
ここからは厳しく言う課長だった。
「怪我もするしな」
「そうですよね、この仕事身体も動かしますから」
庶務だ、書類整理だけじゃない。あれこれと雑用もある。それで身体を動かすことも結構あるのだ。それで課長も言うのだ。
「気をつけないと」
「怪我は一生だぞ」
下手をするとだ。
「だからいいな」
「はい、じゃあ」
俺もそのことはわかっていた、けれど。
抜け殻のままだった、あの娘のことがどうしても忘れられなくて。
どうしても諦められなかった、諦めたくない一緒になりたいとばかり思っていた。そして何で誰も認めてくれないとかと周りに心の中で文句を言った。
それで会社から帰ってその足でコンビニに行って晩飯と酒を買った、それでこの日はコンビニ弁当を肴に飲んだ。
二日酔いのまま会社に出て苦しみながらも働いてまたコンビニで晩飯と酒を買って飲む、そんな日を続けた。
その中でだ、ツレ連中が俺に聞いて来た。
「諦められないか?」
「どうしてもか?」
「だったらどうだっていうんだ?」
会社の昼休みだ、連中は立ち食いそば屋で昼を済ませようと外に出た俺にこう聞いて来た。道を歩きながら。それで俺も応えた。
「一体」
「だから気持ちはわかるんだよ」
「諦められないよな」
「御前のあの娘のこと本当に好きだからな」
「心から」
「普通の娘だろ」
俺はこう返した。
「喫茶店で働いててな」
「まあな、あの娘自身はな」
「悪い娘じゃないさ」
ツレ立ちもこのことはそうだと認めた。
「それは俺達もわかってるさ」
「あの娘自身は普通の娘だよ」
「別におかしなところのない、な」
「それは確かだよ」
「それで何でなんだよ」
俺はツレ達だけじゃなく周りの他の連中にも文句を言った、親も兄弟も親戚も他の知り合いも皆言って来る、それこそあの娘のことを知っている誰もが。
「駄目なんだよ」
「だからあの娘の家なんだよ」
「あの娘の親がヤクザだからだよ」
「それはもう言ってるだろ」
「仕方ないんだよ」
「相手が悪過ぎる」
「どうにもならないからだよ」
またこのことを言われた、言われるとわかっていた。
その俺にだ、ツレ達はこうも言って来た。
「まあ一つ方法があるぜ」
「あの娘と結婚する方法な」
「駆け落ちしかないぜ」
「御前があの娘と結婚したいならな」
「おい、駆け落ちなんて」
そう言われてもだ、俺は苦々しい顔で返した。
「俺はこの仕事しかないぜ」
「だろ?今の仕事離れられないだろ」
「仕事を離れてなんてな」
「リアルでは無理だろ」
「ああ、それはな」
俺もわかっていると返した、実際に誰よりもわかっていた
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