憎悪との対峙
30 母としての愛情
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くすれば奴隷だ。
なのに自分と同列の存在として扱って気遣ってくれる。
こんなふうに接してくれる人間の少年と出会うのは2度目だ。
それが不思議と信じれない程に嬉しくて、気づけば彼に恋をしていた。
だがその思いは伝えることが出来なかった。
しかしその機会は再びやってきた。
自分でも簡単だと思う。
ただ優しく接してくれたから、自分をあの地獄のようなアンダーグラウンドから助けてくれたから。
それだけで好意に近いものを抱き、彩斗の力になりたいと思うようになったのだから。
しかし他の人間やネットナビには分からない。
それが自分にとってどれだけ温かいことだったのか、涙が出るほどに嬉しいことだったのか。
「...私...もし人間に生まれていたら...あんなふうに友達が出来て、一緒に遊んで...真剣に将来に悩んで、時には思いっきり泣いて、いつかは結婚して、家族が出来て...そんなふうに生きられたと思う?」
「えぇ...きっと」
「メリーさんが人間からネットナビになった人だから?」
「そうね。人間であり、ネットナビでもある。そう考えてると人間って何を以って人間っていうのか、何を以ってネットナビっていうのか...形作っているものが筋肉かデータってこと?そんなことを時々考えるようになった」
ハートレスはそう言いながら、ため息をついた。
あまり自分の感情を見せないタイプに見えるハートレスにしては珍しく自分の本音を漏らした。
この2日間で初めて見せたハートレスの本当の顔だった。
そんなことを思いながら見ていたアイリスの視線に気づき、ハートレスは表情を戻すと自身の時計を見た。
「思ったより計画は早く進んで余裕があるわね。彩斗の方はどうなってるかしら?」
「きっとこっちの作業よりも計画は進んでいないと思う。サイトくんの計画は完璧に近い。でも情報が少ないあの条件下での話よ。いくらサイトくんがシンクロであらゆる人間の心を目の当たりにしてきたとしても、思惑通りに動いてくれるとは限らないし...」
「それにあの子の武器は頭よ。運動神経も優れてはいるけど、持久力が無い。あなたも見たでしょう?あの痩せた女みたいな体。虚弱体質...それに近い。それに数日前まで人一人殴ることにすら抵抗があったような心優しい子だから。きっと予定通りにはいってないでしょうね」
「でもきっとサイトくんはやり遂げる。それだけは言い切れる」
「でしょうね。あの子の唯一の家族であるメリーが人質なんだもの」
ハートレスはそう言って再び深呼吸し、腕時計を見た。
アイリスはその時計を見るハートレスの顔が再びさっきと同じ顔になっていることに気づく。
時計はOMEGA・コンステレーション、ざっと40万ゼニーくらいはする高級時計。
今までネットナビとしてインターネット
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