暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
30 母としての愛情
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アイリスは地下ガレージでPCに向かっていた。
しかし指は動いていない上、目も開いていない。
コピーロイドの腕の端子をPCに繋ぎ、PCを内部から操作している。
自身のヒーリングのプログラムから彩斗を回復させたデータを選択、そして彩斗の奪ってきたダークチップのサンプルデータを元にワクチンデータを構成する。
原理としてはコンピューターウイルスのワクチンプログラムを作るのに近い。
作業を初めて約45分、遂にそのデータは完成した。

「出来た...」

アイリスはゆっくりと目を覚まし、キーボードの横のチップリーダーから完成したデータの入ったチップを取り出した。

「出来たわ。従来のダークチップ、そしてValkyrieが改良を加えたダークチップの両方に有効で、使われる前は予防薬としても効力を発揮するはず。人間でもネットナビでも使えるわ」

「思いの外、速かったわね。ダークチップのワクチンなんてニホンが誇る最高峰の研究施設である科学省ですら数ヶ月を要したというのに」

ハートレスはチップを受け取り、キャスター付きの椅子に腰掛けた。
彼女はアイリスの作業を後ろからずっと見ていた。
今まで自分が使ったことのないエディターや言語を使い、仮想環境でのダークチップへの効力のテストやデバック時のエラーを修正しているのは分かったがその速度は普通の人間では想像のつかない速度、もはや機械の仕事だった。

「だって私...人間じゃないから...」
「ええ、知ってるわ。見た目はお人形さんみたいな女の子でもあなたを形作ってるのは所詮、数字と記号で書かれたプログラムだものね」
「...」

アイリスは悲しい顔をした。
彩斗はアイリスをネットナビだとしても普通の人間の少女として接してくれた。
しかし所詮、人間は人間、ネットナビはネットナビなのだ。
それが普通の人間の考え方だった。
だがハートレスは彩斗とは違っているが似ている考えも併せ持っていた。

「でも心は人間、それだけは認めるわ」
「え?」
「だってあなた...悩んでるじゃない?」
「分かるの?」
「それも悩んでいる内容が自分がネットナビだということ。普通、ネットナビは自分がネットナビに生まれたことを当然だと受け入れてこそ、疑問になんて思わないわ。人間がどうして人間に生まれたんだろう?鳥に生まれて自由に飛びたかったなんて思うのと同じ。どうせシンクロナイザー...いえ、彩斗に触発されたんでしょう?あの子、ナビを人間以上に人間として扱うから。もし自分がネットナビでは無く人間に生まれていたら?なんて考えてたんでしょう?」

ハートレスはアイリスにいたずら好きの少年のような顔をして笑い掛けた。
彩斗と出会ってそれに拍車が掛かった。
自分は所詮、人間の道具として生まれた、言い方を悪
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