三十五 尾行
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だろうに。なぜ俺の跡をつけたりしたんだ?」
ドキリと心臓が飛び跳ねる。術に掛けられたままだと言うのに動じないナルトを見て、シカマルは無意識に後ずさった。ナルトもまた彼の動きに倣って、一歩後退する。
「それとも…。波風ナルの病室にいた理由を聞きたいのかな?」
見透かされている。何もかも。
どれだけ考えをめぐらせても『敵わない』という結論に達し、シカマルは拳を握り締めた。
幼馴染であり想い人でもあるナルが入院していると知って、シカマルは逸早く病院へ乗り込んだ。一応は五体満足で眠る彼女の姿を目にし、安堵する。そして目覚める事を配慮し、彼女のための水差しを用意しようと病室から離れていた。
そのほんの僅かな隙に、木ノ葉の者ではない人物がナルに近づいたのだ。
それがうずまきナルトだと気づくのに幾許も掛からなかった。
中忍試験を共に受け、あれだけ周囲に強い印象を残し、そして呆気なく失格となった人間。試験を受ける以上同じ下忍であるはずなのだが、常にシカマルは彼に対して違和感を感じていた。
どこか自分達とは違う、遙か高みに坐しているかのような謎めいた人物。
腕いっぱいに抱えていた花束を花瓶に活けると、ナルに何事かを話し掛けていたナルト。話の内容までは聞き取れなかったが、シカマルは彼の動向をじっと病室の外から窺っていた。そしてすぐさま彼の跡を追い掛けたのである。その直後にナルの病室をキバ達が訪問したのだが、そんなことは彼にも知る由は無かった。
目前の、同じ下忍であるはずの少年から畏怖を感じる。シカマルは拳を今一度握り直した。爪が掌に食い込む。
「アンタ…。ナルとどういう関係なんだ?」
「ただの見舞いだよ。現に花を送っただろう?」
ナルに持って来た花々は花屋で買ったものではなく、ナルトが手ずから摘んできたもの。わざわざ見舞いに花を寄越したナルトを、シカマルは苛立たしげに睨んだ。
「別里の忍びがなんでそこまで気に掛けるんだよ?」
「君こそなぜナルにこだわる?」
淡々と涼しげな顔で聞かれ、シカマルはぐっと言葉に詰まった。畏怖と嫉妬が混ぜこぜになった複雑な感情を心に抱く。
「…あいつは俺の幼馴染でな。昔から危なっかしくて放っておけないヤツなんだよ!」
半ばヤケクソ気味に答えるシカマルを、ナルとよく似た青い瞳がじっと見つめる。そしてなぜか嬉しげにナルトは目を細めた。
その瞬間、バチンとまるで静電気が起こったかのようにシカマルの影が弾かれる。
対象者から離れてしまった己の影を、シカマルは愕然と見下ろした。
術を解いたつもりはない。自身のチャクラ切れというわけでもない。だが実際にシカマルの影は、主に反してナルトの影から分離していた。
「な……ッ!?」
「何があっても、」
告げられた言
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