暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第九一幕 「予感」
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・脂がのってるなぁ。厚みも絶妙だよ、薄すぎず厚すぎず・・・・・・美味い!」
「ふぅん、本わさびだな。流石は老舗なだけの事はある。こういう所でケチって西洋わさび出すような所じゃないか・・・・・・お?こっちの煮物は面白い味付けしてあるな」
「マジですか?どれどれ・・・・・・わ、上品な味付けだな。後で厨房行って作り方教えてもらいたいレベル」

料理作る勢の一夏と評論勢のジョウはしきりに情報を交換しながら料理を評価するのに忙しく、隣に座った鈴とシャルは暇を持て余して何やらひそひそと話している。他にも簪がお茶を飲む際に眼鏡が曇ってユウに笑われていたり、ラウラが佐藤さんに苦手らしい料理を押し付けたりしている。当の佐藤さんは自分の食べる量が増えたと嬉しそうだが。

しかし、寿司はともかく刺身を食べるのは初めての経験だ。魚を生で食べる文化というのは世界的に見て珍しい部類に入る。特に日本では実に多様な種類の魚を生食し、これほど生魚の食べ方に精通した国はないだろう。

例えばセシリアの住む連合王国は海産物が豊富な島国だが、生食するのは牡蠣(かき)くらいのものだ。フランスでは近年寿司などの影響で生食が増えているが、それでも青魚はNG。味も日本のそれには遠く及ばない。中華料理は火を通すことが基本だし、生はやはり嫌われる。
ちなみにドイツには豚肉を生で食べる文化もあるが、それを言うなら日本人は鯨も馬も生で食べるし、一時期色々ともめたが生肉ユッケだって存在する。とにかくこの国は生に拘るのだ。

「・・・・・・つらら、このお皿の横に盛られた緑色のものは何ですの?」
「わさびです!薬味・・・香味料とも言うものですが、分かります?」
「スパイス・・・のようなものでしょうか」
「近いです!ちなみにとっても刺激が強いのでお気をつけて!」

盛られた緑の山を見て、セシリアは躊躇いがちながら少しだけ摘まんで刺身に乗せ―――

「ん゛ん゛〜〜〜!?ん〜〜〜っ!!」
「おいおい何やってんだシャル・・・ほれ、お茶」
「んぐ、んぐ・・・ハァっ・・・ハァっ・・・!ジョ〜ウ〜!!」
「おいおい、俺は今回は何もしてないだろ?自己責任自己責任!」

そこで、何やら涙目でジョウに掴みかかるシャルという珍しい光景が目に入った。顔を真っ赤にして憤慨しているシャルに対し、ジョウは呆れ顔でいなしている。

「・・・何事でしょうか、あれは?」
「シャルさんがジョウさんにわさびを大量に練りこんだお寿司を食べさせようとしたけど、わさびを注入したお寿司をすり替えるのに失敗したみたいです。シャルさんの泣いているところは初めて見ました!」
「なんて間抜けな・・・」

そう言いつつも、刺身に乗せようとしたわさびをそっと盛られたワサビのもとに返すセシリアだった。

宴の場は大いに
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