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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
番外編 「リメンバー・ウルフ 後編」
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過ごせなくなるので」
「まるで俺がお前を戦わせてるみたいじゃないか・・・因果だな。本物の戦争屋にでもなる気か?」
「教官がそこにいるのならば」

そう迷いなく言い切ったラウラは、こちらを向いて微笑を浮かべた。その顔に、独特の覚悟が滲み出ている。ドラマにあるロマンチックな覚悟ではなく、自己満足で血の池に足を突っ込んで、その結果死んでしまっても「それはそれでいい」と笑える確信がある、という顔だ。
これは困った。人を父親呼ばわりする子供に戦場をうろつかれては「マーク・ウルフ」の幹部(社長に押し付けられたものだが)の名が泣くではないか。さりとてここでラウラを娘と認めては、俺の子供の数が1000人を優に超えてしまう。

(いい加減、こいつを納得させる言い訳を本格的に考えなければならんか)

いつまでも甘えさせておくわけにもいかないのだから、適当な手を打って引き下がってもらうしかない。いや、若しくは――もう一つ方法が無いでもない。それに思い至った俺は名刺入れから一枚の名刺を取り出し、ラウラの手に握らせる。

「教官、これは?」

正直に言って、これは出来れば切りたくなかった手なのだが・・・戦場で自分以上の碌でなしとつるんで妙な損をして欲しくないと願うのは親馬鹿だろうか。食い入る様に名刺を見つめるラウラに苦笑した。

「ICチップ入りの特別名刺。それ持ってウチの本社に行けば採用試験してくれる優れものだから無くすなよ?職にあぶれるか我慢できなくなったら、軍を抜けて受けに来い。そこで俺の背中を任せるに相応しいか見極めてやるよ」

この辺が妥協点だ。本気の本気で追い掛け回す気があるのなら、然るべき力を見せて見ろ。「マークウルフ」の名を任されるだけの牙があるのか示してみろ。生半可な実力は御呼びではない。今のラウラが挑んだところで本社採用には至らないだろう。お前はまだ半人前のヒヨッコだ。だから確り実力をつけて、それでも来たけりゃ挑んでみろ。言っておくがこれは逃げ道じゃない、お前にとってはむしろ挑戦の道だ。

そう、これは挑戦状。師として、教え子への挑戦状だラウラ。お前は馬鹿だが聡い子だ。その名刺が意味する事を全て把握できたはずだ。俺はこう言っているのだ―――お前にはまだ早い、背中はまだ任せられないと。
例えドイツ軍人としての地位と代表候補という立場、そして専用ISまでお前は自力で得た。それでもなお、お前は足りないのだ。及第点にはあっても、飢狼の巣食う「マーク・ウルフ」にあってその身を保てる力は持っていない。そして付いて来れないのならお前はそれまでなのだ。これは、現時点でのお前に対する戦力外通告だ。

さあ、返答や如何に――。

「・・・よしっ!アタックチャーンスゲッツ!」
「あー・・・まぁそう言う奴だよな、お前はさ・・・」


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