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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
番外編 「リメンバー・ウルフ 前編」
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の情報もあまり漏れない。おまけにISの登場でアドヴァンスドの強化を続けるメリットは減り、ISの適合率が低い連中は次々に邪魔者扱いされていったと聞く。遺伝子の異常で3歳まで生きられなかった検体は、闇に葬られている。つまりはそういう存在だったのだ。
―――そんな折に、俺はドイツに呼ばれたのだ。そしてこいつらが“閉じられた世界”で生きてきたことに可能性を見出した。「ガイレンキルヒェンの戦い」なんてその副産物に過ぎない。俺の隣の席に座ったラウラが俺の顔を見上げる。とても優しく、人の心の暖かさを感じる笑顔だった。それを与えたのも俺だというのか、ラウラ。
「教官は、お父さんです」
「そうか・・・俺はそんな暖かさを持った人間を育んだのか。俺が心の光を見せる側に・・・」
あの時の出会いがこの子の心を育むきっかけになった。そう聞くと、昔を―――ラウラと初めて会った時のことが思い起こされた。
= = =
それは2年前のこと―――
何でこんなところにいるんだか。と自問し、依頼だからの一言でバッサリ切り捨てる。
今、俺ことクラースはドイツの国際空港に着き、コーヒーを飲んで一息ついている。ビールだのソーセージだのポテトだのチーズだのを楽しむ暇があれば重畳なのだが・・・仕事で来ているので望み薄だろう。
全く以て嫌がらせみたいな依頼だ。取り敢えず状況を整理しよう。
俺はPMC、簡単に言えば傭兵の会社である「マークウルフ」というところに勤めている。設立当初からここにいるし、割と重鎮と言ってもいいくらいの人間だ。んで、そんなうちの会社にある日ドイツ軍のお偉いさんから依頼が来る。
その時点で嫌な予感はしたんだ。正規軍を抱えてる先進国からPMCに依頼を持ってくるなんて普通は無い。ましてやISなんてものが幅を利かせている今、俺たち傭兵の仕事場は専らISを持つだけの金がない新興国や途上国からの依頼だ。要するに、お偉いさんがわざわざ来る時点で胡散臭い。
そして案の定依頼はろくでもないものだった。
「新しいIS教官である
織斑千冬
(
ブリュンヒルデ
)
の当て馬・・・ってことだよな、これ」
実際には「ISの運用において従来の兵士指導と実際にISを動かした人間の指導を比較しより効率的な指導法を模索するために、教官として適切な人材を送ってほしい」というものである。
しかし実際の事情はだいぶ違う。
まず、織斑千冬というのは第1回IS世界大会(モンド・グロッソ)の総合優勝者だ。そして第2回大会の最中に弟さんが誘拐されて途中棄権した。んで、誘拐された弟さんを救出するのにドイツ軍が動いたために「その恩を返せ」と彼女を教官にしているわけだ。何とも厚かましいというか恩着せがましいというか・・・そもそも弟さんを攫ったのはドイツ軍だという噂だってあ
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