第六十二話「女性兵士と女性適合者」
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だ。投げたモーションは誰の目に止まることもなかった。
投げられたダガーナイフは、既にヴァルゴの目の前にあった。
しかしダガーナイフがヴァルゴの顔に突き刺さる直前………
「危なっ!」
ヴァルゴはいつの間にか空中にいた。
空中で身体を捻り、ダガーナイフの直撃をギリギリで回避していた。
そしてヴァルゴの片足が地面に着いた瞬間、凄まじい勢いでクレア達目掛けて疾走した。
咄嗟にクレアは後ろに下がるが、クレアの近くにいた兵士がヴァルゴの接近を許してしまう。
「っ! 逃げ……」
クレアが兵士に逃げろと言うが、遅かった。
兵士との距離を詰めたヴァルゴは、走ってきた勢いを殺さずに掌底を見舞う。
兵士の首からゴキャリ、と嫌な音が鳴り、白目を剥いて倒れた。
「クソ! よくも……」
兵士の一人が、仇を討とうとナイフを構えた。
ヴァルゴは掌底から再び身体を捻り、強烈なローリングソバットを食らわせた。
踵が兵士の下顎に当たり、顎関節ごと頭蓋が割れ、兵士は派手に吹き飛び絶命した。
「なんだコイツ!? 滅茶苦茶速え!」
「クソ! 急いで応援を……」
「待ちなさい! 君達は撤退して!」
残った兵士達にクレアは命令を出す。
「クレアさん、しかし!」
「君達じゃ適合者を相手にできない。君達を死なせるわけにはいかない」
「ずいぶん優しいんだねぇ、女兵士さん!」
ヴァルゴが走り出す。その先にはクレアの方を向いた兵士。ヴァルゴは既に拳を構えている。
クレアは兵士の襟首を掴み、その場からどかす。
そして反対の手に忍ばせておいたダガーナイフを突き出し、ヴァルゴの拳を刺した。
「絶対に殺させない………!」
「…………やるじゃない、女兵士さん」
「早く撤退しなさい……2度も同じことを言わせないで」
「そうよねぇ……消えな雑魚共。女同士の争いに手出ししないで頂戴」
「クソっ……! 他の部隊から応援を呼んできます! どうか……ご無事で!」
そう言って、残った兵士達は撤退を始めた。
「(他の部隊の援護に回るつもりだったのに……逆に迷惑をかけてしまうなんて……)」
「さて、女兵士さん。アタシの拳貫いたんだから、死ぬまで遊びに付き合ってもらうわよ」
ヴァルゴは拳に刺さったダガーナイフを見たまま、ニタリと笑った。
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