旋律の奏者と大地の杖
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部下のプレイヤーも全て吸収しているんだ!」
「吸収!?」
「おそらくあそこの拠点にあるもの、そして自軍のエネルギーとなるもの全てな」
「どうしてそんなことを・・・」
「気が狂いまくった奴の考えなんか知れねぇ、だから恐ろしい。キリトがさっき言った巨大なビニールで被われたもの、アレはたぶん巨大粒子砲の類いだろう」
「そんなもの、どうして最初から撃たなかったんだ?」
ユージーンの疑問に対して俺は簡潔に答えた。
「撃たなかったんじゃない、撃てなかったんだ」
「撃てなかった?」
「俺は確かにゲーム開始前に言った。“荷電粒子砲でも、高機動兵器でも作れる範囲なら何でも構わん”ってな。だがそれはあくまで作れる範囲での話だ。彼はあの短時間で作った、そこは流石と言うべきだ。だが撃てるかどうかは別問題だ、撃てなきゃ、只の鉄屑の同じ。おそらく魔力を溜めるのに途方もない時間がいる。だから撃てなかった。」
「じゃあ、あの吸収は?」
「たぶん、肉体強化の延長・・・いや、そんなもんは生温いか・・・。強いて言うなら・・・」
俺は今もなお反応が強まっている黒い霧を睨みながら言った。
「禁忌・・・!!」
皆の体にゾクッという悪寒が走る。シオンは更に続ける。
「エネルギーとなるもの全てを吸収し、自分のモノとする。それがたとえ見方でも。まったく、ゲームじゃなければ人間捨ててるぜ、アイツ・・・。まっ、もうとっくに研究の内容事態が禁忌だがな・・・」
「そんな・・・」
「あんだけ吸収したら、いくら俺やキリトでも予想は出来ない」
「どうにか出来ないのか?」
サクヤさんの問いに視線だけ向けて答える。
「あるにはありますが、まだピースが足りない。今行っても倒せる確率は良くて30%」
「なん、だと・・・」
「ッ!ねぇ、あれ!」
エリーが指差した先には黒い霧の中で光る鋭い瞳らしきもの、霧が薄くなるにつれてその姿は露となった。その姿は“蛇”を彷彿とさせたがそんな生易しいものではなかった。
何もかもを食いちぎりそうな鋭い牙、一撃でターゲットを刈り取る刃のような尾、死角を許さない多数の眼、そして何者も寄せ付けない殺気と威圧感。
「まさか、あれは・・・!」
俺はこのALOをプレイする少し前、文献でだが北欧神話についてチラリと調べていた際に見つけた怪物を思い出した。
その名は「大地の杖」を意味し、ロキが巨人アングルボザとの間にもうけた、またはその心臓を食べて産んだ3匹の魔物の内の一体とされている。
その怪物の名は───
「ヨルムン、ガンド・・・!!」
「ヨルムンガンドって、あの!?」
「北欧神話に登場
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