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ショートヘア×ロングヘア
第二章
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ことも嫌だった。正直どうするべきか悩んでいた。とにかく切りたくはない、しかしそれだと文哉がまた駄々をこねる。恵理子にしても難しいところだった。さながらやんちゃな子供を持つ若い母親といったところだ。
 しかし母親は決断を下すものだ。今の彼女もそうだ。そうして下した決断は。実はまだなかった。
「どうしようかしら」
 学校の帰りに街を歩きながらあれこれ考えるのだった。
「切りたくはないけれど。それでも」
 切らないと、だった。そのどちらにするかで悩んでいた。しかも悩んでも答えは出ない。彼女にとっては非常に苦しい話であった。
 悩んで街を歩き続ける。ショーウィンドゥーも目には入らない。考えるだけだ。だがふと擦れ違った女の子に目をやった。それがターニングポイントだった。
「あっ・・・・・・」
 その女の子を見て思った。これだ。これで解決する、そう確信したのだ。
「そうよ、これよ」
 その街中で立ち止まって手を打つ。
「それでいいんだわ、別にこうしても」
 表情も一気に明るくなる。解決するのは簡単だった。後はそれを実行に移るだけだ。
「よしっ」
 満面の笑顔で自分の家に戻る。そうして少し用意をして終わりだ。それで充分であった。
 次の日学校に向かう。キャンバスの中で彼女を見た文哉は。
「あっ、切ってくれたんだ」
「そう思う?」
 ところが恵理子はその彼に対して悪戯っぽく笑うのであった。
「本当に」
「あれ、だって」
 見れば髪が短い。それが何よりの証拠に見える。少なくとも文哉にとってはそうであった。ところが恵理子は悪戯っぽい笑みをそのままにしているのだった。
「実際に短いし」
「短くはしたわ」
 こう答えはする。
「けれどね」
「?何が言いたいの?」
 いい加減話がわからず首を傾げる文哉だった。
「恵理子ちゃん本当に髪切ってるじゃない」
「切ったと思うの?だから」
 また言うのだった。
「本当に。それはどうなの?」
「だって切ってないと」
 どうしても話がわからない文哉だった。首を右に左に傾げている。

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