秋山 駿
第一章 崩壊する生活
第二話 消えた少女と東城会
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
た。
少しの沈黙の後、ひと呼吸おいて口を開いたのは大吾だった。
「話の続きですが……」
「東城会の話、でしたっけ」
「はい。東城会では、ある事件を皮切りに大きく動き始めました」
「事件……」
「桐生さんの死です」
そんな予感はしていた。
東城会だけではない、関東の極道で殆ど知らない者は居ないとされている伝説。
そう呼ばれる男の死は、少なからず影響は出るだろうと思っていた。
だが桐生の死が、大吾が相談するまでのここまで大きな事態になっているとは到底思えなかったのだ。
「東城会に、何かあったんですか?」
「ただの極道組織内部での抗争なら、ここまで話題にはならなかったのでしょう。少なくとも秋山さんに相談する事態にはならず、粛々と私達で全てを終わらせたはず」
「という事は、ヤクザだけでは済まなかったと」
その言葉に言葉に大吾は頷き、口にしたのはとある事件の内容だった。
「東城会の手で、1人の政治家が死んだらしいのです」
「政治家!?何でまた?」
「新聞にも大きく取り上げられてたと思うのですが、ご存知なかったのですね」
「すみません、最近あまりニュースや新聞を読んでなかったもので。でも、どうして政治家と極道が?」
「わかりまでん。直系組のどこかが政治家を襲ったとしか、現段階では確定できていません。ですが、貴方にとっても悪い話では無いはず」
「堂島さんがそこまで仰るなら悪い話ではないとは思いますが、俺はあくまでも堅気です。安易にヤクザ組織に首を突っ込むと、下手したら命まで取られかねない」
秋山の言う事は正しい。
ただの堅気がするべき事は、今の所見当たらないからだ。
死んだのが政治家とはいえ、秋山にとってのメリットが一切無い。
だが当然それは、大吾もわかっていたようだ。
「今東城会ではかなり大事になっており、私ではまともに動けません。だから堅気である、自由に動ける貴方にその事件の調査を行って欲しいのです」
「調査……そんな重要な事ですか?」
「ええ。少なからず自分はその調べ物と、桐生さんの半年の空白期間に深い繋がりがあると思っています」
その言葉を、聞き逃さなかった。
遥は半年前から行方不明になり、桐生もまた同時期に姿を消している。
政治家の死が桐生と繋がるのであれば、上手くいけば遥の情報も知ることができるかもしれない。
「その調査とは?」
「政治家・田宮隆造の、死の真相です」
大吾の声色が、少し変わった気がした。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ