第二話:血盟騎士団
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」
なら、もう態度を偽る必要もない。なるべく他人に心配をかけないために昔のように振舞っていたが、事の顛末を知ることになる彼女には、もう意味ないだろう。
「…そうだな。リーダーだったアンタには、知っておく義務がある」
「レン、君…?」
急に態度が変わったオレにアスナは驚いたようだ。だがまあ、気にすることでもないだろう。
† †
レン君から伝えられた今回の事件の顛末に、私はあまりのショックからか絶句してしまった。感情が表情に現実以上に出やすいこの世界だ。私の顔は今真っ青になっているのだろう。レン君が、心配そうな表情を浮かべた。
「……それは、ネロさんが望んだことだったの?」
「ああ。オレ以外のギルドメンバー全員の意思だ。だから、オレはあいつらを断罪した。あいつらの望む形でな」
悲しい話のはずなのに、誰よりも悲しいに決まっているのに、話しているレン君の声は平坦そのものだった。だから分かってしまった。彼は変わってしまったのだと。誰よりも仲間を大事にし、私が憧れたあのヒーローみたいな彼はもう…
「だから、必ず、オレの手でこの世界を終わらせると、あいつらの遺志を、オレが受け継ぐと約束した」
「ーー!」
違った。彼の燃え盛るような紅蓮の瞳を見て、私は確信した。
確かに、彼は仲間の死のせいで変わってしまったのだろう。だけど、本質的なものは何も変わっていなかった。誰よりもこのゲームをクリアすることを願い、誰よりも仲間の死を嫌い、そして、人々の心を燃え上がらせることのできる男。私が憧れた《レン》というプレイヤーは、確かにここにいた。
「誰一人欠けることなく、一刻も早くこの鉄城を攻略する。そのためにはアンタの力が必要だ。手伝ってくれ」
待ちわびた彼の言葉に、歓喜に打ち震えそうになるのを必死に抑える。
私が、その提案を断るはずなどなかった。
† †
これでいい、とオレは自分を納得させた。これで、オレは否が応でも攻略に参加しなくてはならなくなる。
自らを死地に強引に固定することで、戦いから逃げることを不可能にする。
ともすれば折れてしまいそうな心を、無理矢理に燃え上がらせる唯一の方法だ。
「あとは、オレがビビらないようにするだけか…」
アスナと別れたオレは、単身、真夜中の血盟騎士団本部へと足を踏み入れていた。目的は一つ、因縁の相手との再会だ。
「…来たか、レン君」
「来たぜ…ヒースクリフ」
精神はボロボロの状態だが、それを億尾にも出さず、目の前で悠々とした佇まいを見せる白銀の騎士を睨みつける。こいつと会う際、武装も変更しておいた。いつもの黒い外套ではなく、白い外套を纏い、背には贖罪の名を持つ魔剣を背負う。
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