第二話:血盟騎士団
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メールを送ってくる人物がいた。もしかしたらその人物に見つかるかもしれない。だからオレはかなりの警戒をしていたのだ。
だが、
(くそ、さっきから引っ切り無しにメールが送られてくる…!)
あまりの受信量の多さに業を煮やして、オレは思わずそのメールを開いた。開いてしまった。
『今、貴方の後ろにいるの』
文面には、そう書いてあった。と、同時にガッシリと肩を掴まれる。思わず悲鳴を上げそうになりながら、光速で後ろを振り返る。
「久し振りー、レン君」
いやー、やっと会えたよー。とか呑気に言っている、白い装備に身を包んだ女性プレイヤー。『閃光のアスナ』が信じられないほどの握力でオレの肩を掴んでいた。
† †
面倒なことになった、と心の中で思う。もしここでそれを口にでも出したらすぐにでもあの青いレイピアによって串刺しにされるだろう。まあ、圏内でそれはあり得ないのだが。
それよりも何故こんな遅い時間にKoBの副団長様がいらっしゃるのだろうか。そして何故オレはその副団長様と一緒に深夜のNPCレストランで向かい合わなくてはならないのか。
KoBとは個人的な因縁が色々とあるから、なるべくなら関わり合いになりたくないのだが…
「今日は私の奢りだから、沢山食べてね」
「お、おう…」
一体どういう風の吹き回しだろうか。副団長様がオレに奢るだと、こんなこと今まで一度だってなかったぞ。
内心の困惑を余所に、オレは取り敢えずウェイトレスNPCに容赦無く高い物順に三つ料理を頼んだ。ちなみにそれがなんなのかは全く分からない。アスナもどうやら同じ物を頼んだようだ。多分、そう高くない店を選んだのだろう。
と、アスナが佇まいを正した。オレもそれに倣い背筋を伸ばし、すっかり癖になってしまった陰鬱な思考を破棄し、あの頃のバカで愚直だった思考に切り替える。
「さてと。会うのは二ヶ月ぶりくらいかな? さっきも言ったけど、久し振り、レン君」
「そうだな、久し振り。ちょっと見ない内にまた綺麗になったなアスナ」
キザな言葉に自分で辟易とする。あの頃はこんなことをサラッと言えていたんだから、今の自分がどれだけ歪んでしまったのかがよく分かる。
「…それで、こんな時間に閃光様が何の用なんだ?」
「あの時のことを教えて欲しいのよ、希望の象徴さん」
やっぱり、そういうことか。アスナは血盟騎士団の副団長として、あの時には討伐隊のリーダーの一人としてあのメンバーを仕切っていた。だから、あの時、討伐隊に一体なにがあったのかを知りたいのだろう。
惨劇の現場にいた彼女だ。下手に隠すことは不可能だ。
「…なぜ、《アイギス》のメンバーがオレを除いて全員死んだか、ということか?
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