第二話:血盟騎士団
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旦戻るとするか」
冷静に状況を判断する。この先はまだ未開拓の場所だ。今までオレが通ってきた道は正確なマッピングはされていなかったが、大まかな道筋やトラップの位置はわかっていた。だが、ここから先はなにも分かっていない。どんな道があるのか、どこにトラップがあるのか、そしてポップする敵の強さも。
万全の状態ならば進めたかもしれない、いや、間違いなく進んでいたが、消耗した今では限りなく危険だ。
アテのある『無茶無謀』は押し通してこそ、だが、アテのない『無理』は絶対にしない。
死んだら元も子もないこの世界で、万全でない状態で未知へ挑むのはよっぽどのバカか、自殺願望のある死にたがりだけだ。
「転移『グランザム』」
アイテム欄から転移結晶を取り出して、行き先を指定する。
目の前の景色が青一色に包まれ、そしてオレの姿はその場から消えた。
† †
複数の鋼鉄の尖塔で形作られた街、第55層主街区《グランザム》。鉄と石によって造られた白い街は、緑が少なくどこか寒々しい。が、ここにはこのアインクラッドで最も有名な攻略ギルド『血盟騎士団』の本部が置かれているため、それなりの賑わいは見せていた。
そんな街並みを睥睨して、オレは隠れるように路地裏に足を向けた。
(…厄介なのに見つからなければいいのだが)
なぜオレがここを訪れたのかは、簡単である。ここにオレのプレイヤーホームがあるからだ。第一層の黒鉄宮の監獄エリアに幽閉されて二ヶ月。久々の帰宅ということになるのだが。
(…なんでアイツらはKoBと同じとこにホームを建てたかな…)
今は亡き戦友に文句を心の中で文句を言うが、勿論返答はない。
実を言うと、オレのプレイヤーホームだが、昔はとあるギルドの拠点だったのだ。オレ自身もそのギルドに所属しており、10人にも満たない小ギルドにも関わらず破竹の勢いで成長する有力攻略ギルドであった。だが、とある事件でオレを残して他のメンバーの全員が死亡した。
それ以来、ギルドホームだった場所は唯一生き残ったオレのプレイヤーホームとなっている。
(さて、ここからが一番厄介なんだが…)
路地裏から、血盟騎士団の建物を盗み見る。もう夜遅いのだが、流石は有力ギルド、それなりに人通りがある。先程から連続して受信するメールに嫌な予感を覚えながらも頑なに無視しながら、オレは素早い身のこなしでホームへの道を急いだ。
黒鉄宮の監獄にいる間からずっとメールの受信はあった。安否の確認、現状の説明を促す文、糾弾する声など。しかし、オレはそれをまるで、これまでの関係の全てを捨て去るように無視し続けていた。
そして、この血盟騎士団の中にも
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