第七章
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「覚悟しておけよ」
「御前が俺をノックアウトするっていうんだな」
「そうだよ、その時を楽しみにしておけよ」
「全く、言うな」
「俺は嘘は言わないからな」
「だからか」
「今度勝つのは俺だよ」
絶対にとだ、その不敵な笑みで言うのだった。
「わかったな」
「いや、その言葉はな」
「そっくり俺に返すっていうのか」
「そうだよ」
その通りだというのだ。
「今度もそうしてやるからな」
「へっ、じゃあ次もな」
「全力でやるからな」
「それじゃあな」
見舞いの場でこうした話をするのだった、そして。
見舞いを終えてだ、デービスは満足している笑顔でホーナーに対して言うのだった。車の中だか運転は今はデービスがしている。
「よかったよ」
「本当にね」
「これ以上はない位にな」
「後遺症もないってことだしね」
「入院費も安くついてるらしいからな」
「そのこともよかったね」
「全くだよ、何かな」
ここでだ、デービスはこうも言ったのだった。
「胸にあった重いものが完全にな」
「消えたんだね」
「そうなったよ」
「つまり原罪をな」
「背負わなくて済んだんだな」
「俺達はもう原罪を背負ってるんだ」
キリスト教の考えだ、ただこの考えは既にキリストにより清められているという説もあり様々に言われている。
「それならそれ以上はな」
「背負わないに限るか」
「そうだよ、だからな」
それでだというのだ。
「よかったよ」
「俺にとっては」
「原罪は一つだけでいいさ」
それだけでだというのだ。
「キリスト教のな」
「その他はか」
「だからよかったんだよ」
「そういうことか」
「そうだよ、じゃあ今度彼と試合をする時もな」
「その時もだよな」
「ベストマッチを期待するぜ」
ホーナーは車の前を見ながらデービスに言った。
「昨日以上のな」
「そうさせてもらうな」
「それじゃあまずは事故を起こさずに」
「ジムに戻ってな」
「トレーニングだ」
午後のそれをしようというのだ。
「スパーリングしような」
「相手頼むな」
「任せとけ、そのパンチ受けさせてもらうからな」
是非にと言うホーナーだった。
「しっかりとな」
「そうしてくれよ」
「スポーツはスポーツなんだ」
ホーナーはデービスにこうも言った。
「原罪を背負うものじゃないんだよ」
「そういうものか」
「ああ、だからよかったよ」
デービスがその原罪を背負わずにというのだ。
「じゃあ次の試合もな」
「頑張るか」
「そうしような」
こう話してだった、ホーナーはデービスの背中を言葉で押した。そうしてだった。
デービスはほっとした気持ちでボクシングを続けるのだった。ジョーンズとまた戦うことも楽しみにしながら
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