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関西弁のイタリアン
第五章
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「あそこやな」
「自分ひょっとして吉本嫌いか?」
「好きか嫌いかっちゅうやら好きや」
 円もこう言いはする。
「レイザーサモンさん好きやで」
「ハードの人もリアルの人もやな」
「どっちもな。けど弟は顔ええさかいな」
「ハードゲイさんお顔もええやろが」
「そやから弟はお笑いやないんや」
 そこは絶対に違うというのだった。
「ええな、そういうこっちゃ」
「アイドルか特撮ヒーローか声優さんか」
「将来が楽しみやで」
「たこ焼き屋さんとかはないねんな」
 ヌッチは自分の夢をここで出した。
「ずぼら屋の店員さんとか」
「何でそこでそういうのやねん」
「わいの夢やけどな」
「誰もあんたの夢なんか聞いとらんわ、とにかくここで会ったのは奇遇やな」
「運命の赤い糸で結ばれてたりしてな」
「ちゃうやろ、運命の茶色い糸や」
 円は即座にヌッチに返した。
「どっちかっていうとな」
「何やそれ茶色い糸って」
「腐れ縁や、それの糸や」
「むっちゃ嫌な糸やな」
「それにしても何でここで会うかや」
 円は腕を組みバツの悪い顔にもなって述べた。
「あんたと」
「ただ串カツ食うて通天閣に登っただけやけどな」
「それでビリケンさんにお願いしたんやな」
「そや、それだけやったんや」
「ほんま偶然やねんな」
「そういうこっちゃ、まあわいの目的これで終わったし」
 円は弟と一緒なのだ、ヌッチはこのことは気を効かせた。
「ほなこれでな」
「また学校でな」
「弟さんは吉本に紹介しとくな」
「アホ、ジャニーズかスターダストかアーツビジョンにしとかんかい」
「アーツやなくてアイムエンタープライズかヴィムスにしとくわ」
「全部正体は一緒やろが」
 こうしたやり取りをしてだった、ヌッチはこの日は円とはこれで終わった。しかしこれで実際に縁が出来てであった。
 二人は学校でも会うと話をする様になった、円は小柄で一五三程なのでヌッチを見ていつもこう言うのだった。
「このデカブツほんま邪魔やわ」
「でかくて悪いんかい」
「邪魔やろが」
 そのまま言うのだった。
「邪魔やからどっかに行かんかい」
「何処に行けっちゅうねん」
「難波に行って道頓堀に飛び込まんかい」
「阪神優勝しとらんのに入るか」
「優勝せんでもいいから飛び込んでこんかい」
「何でそうなるんや」
 こうした話をしてばかりだった、ヌッチのクラスメイト達はそのやり取りを見てヌッチ本人に首を傾げさせて問うた。
「自分等付き合っとんの?」
「最近よお一緒におるけど」
「何時の間にそういう関係になってん」
「それで何処までいったんや」
「何処までってあいつは彼女ちゃうわ」
 速攻でだ、彼は否定したのだった。
「あんな騒がしい女誰が彼女にすんねん」

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