第四章
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「そうするか」
「そうだな、ここはな」
「少なくともあれのことはな」
海馬、それのこと自体がだ。
「艦長にお話しないとな」
「駄目だよな」
ウィンザーも応える。
「それはな」
「じゃあな」
「艦長をお呼びするか、どっちにしても」
「そうしような」
こうしてだった、艦長が場に呼ばれた。すぐに水兵達とは全く違うネービーブルーに金モールで飾られた見事な軍服の艦長が来た。
そうして艦長も海馬を見た、するとすぐにめを鋭くさせてクリッグトン達に命じた。
「砲撃用意だ、それにだ」
「はい、それにですね」
「後は」
「銃も出せ」
砲撃だけでなく、というのだ。
「いざという時にはな」
「船に襲い掛かってきたらですね」
「その時は」
「そうだ、撃て」
そうしろというのだ。
「いいな」
「了解です」
「それでは」
クリッグトン達は険しい顔になり艦長の命令に従った、そうしてだった。
実際に砲撃と銃撃の用意をして身構えた、そのそれぞれの手にライフルが持たれ艦長も拳銃を持っていた。
他の水兵や将校達も身構える、そのうえで海馬を待ち受けるが。
海馬は彼等の気配を察したのか向かって来なかった、近くまで来るには来たが。
向きを変えてだ、そうして。
船の進む方向とは逆に向かった、それからだtった。
その方向に向かおうとする、そこでだった。
艦長はその海馬をその目でしかと見た、そしてすぐにだった。
見習い士官に紙とペンを持って来させた、船から見えなくなろうとする海馬をそのペンで紙に素早くスケッチをした。
その姿は異様であった、黒い身体に。
恐竜を思わせる頭があり身体は細長い。首はあまり長くなく。
海の中に見えた尾は横にある、鯨のそれだ。
しかも潮を背中から吹いていた、その全てをスケッチしてからクリッグトン達に問うた。
「こうした姿だったな」
「はい、そうでしたね」
「間違いなく」
「これが海馬か」
こう言うのだった、彼等に自分のスケッチを見せてから。
「そうだな」
「そんな感じですね」
「俺達も見てましたけれど」
クリッグトンとウェールズが艦長に答える。
「あいつの姿は」
「そんなのでした」
「恐竜か?これは」
艦長はいぶかしむ顔で言った。
「そうなのか?」
「どうですかね、それは」
「恐竜にも見えますけれど」
「鯨じゃないんですか?」
「それじゃあ」
「鯨か、とにかくだ」
艦長は彼等と話をしながら自分のそのスケッチを見つつ言った。
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