第一章
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壊れた時計
オリバー=マクドネルはニュージーランドの首都キャンベラで駅員をしている。仕事柄時間には厳しい。左手にはいつも腕時計をしていて時間のチェックも忘れない。
この日もだった、黒髪を丁寧に後ろに撫で付けた痩せた眼鏡をかけた顔で左手の腕時計で時間をチェックしてから後輩のジェームス=オーフェルに言った。
「あと三分だね」
「はい、列車の到着まで」
「ではそろそろ用意をしよう」
「わかりました」
オーフェルも彼の言葉に応える。白く若々しいその青い瞳が目立つ顔で。彼の髪の毛は薄いブロンドで駅員の制帽からそれが見える。
実際に三分後列車が来た、マクドネルは時計の時間をチェックしつつ列車が来たところでオーフェルに言った。
「時計がないとね」
「何も出来ませんね」
「駅員の仕事はね」
「はい、それに」
「他のことも」
「時間がわからないと」
どうしてもとだ、オーフェルも言うのだった。
「どうにもならないですね」
「全くだね」
「若しもですよ」
ここでだ、オーフェルは先輩にこんなことも言った。
「先輩の時計が壊れたら」
「それは困るな」
「そうですよね、やっぱり」
「時計が壊れたらな」
それこそ、というのだ。
「何も出来ない」
「駅員の仕事も日常生活も」
「何もね」
それこそというのだ。
「出来ないよ」
「そうですよね、俺も」
「だから時計はいつも予備を持ってるよ」
マクドネルは自分の駅員の制服から腕時計をもう一つ出した、そのうえでオーフェルに話すのだった。
「この通りね」
「用意がいいですね」
「若し身に着けている時計が壊れても」
そうなっても、というのだ。
「大丈夫だよ」
「そうですか、じゃあ」
「時間には正確だよ」
マクドネルはオーフェルに言い切った。
「さもないとこの仕事は出来ないよ」
「そういうことですね」
こう二人で話すのだった、そしてだった。
マクドネルは鉄道職員の仕事を続けていた、オーフェルも一緒だった。時間に正確にしていったがある日のことだった。
マクドネルは自分の腕時計をチェックしてだ、オーフェルにこう言った。
「遅いな」
「列車がですか」
「時間なのに」
時計を見つつ言うのだった。
「しかしまだ」
「来ていないですか」
「一分遅れているな」
「あれっ、そうですか?」
オーフェルはマクドネルの言葉を受けて自分の時計を見た、その都会だと。
「次の列車は十時五十八分ですよね」
「私の時計は十時五十九分だよ」
「おかしいですね、僕の時計だと」
「君の時計だと何時何分だい?」
「十時五十六分ですよ」
「何っ!?」
オーフェルの今の言葉を聞いてだ、マクドネルはその目を大き
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