第四章
[8]前話
「今の状況は」
「この戦争はですか」
「それについては」
「朕に全ての責がある」
陛下はこの戦争がどうなるのかおわかりであられた、このことは相手の多さと国力を考えれば当然だった。だがその戦争についても仰るのだった。
「あの者を任じたのは朕だ、だからな」
「それでなのですね」
「陛下にですか」
「あの者のことは戦争の後でどう言われるかわからない」
しかしだと言われた。
「真実は残り何時か明らかになることだ」
「総理のこともですね」
「やがては」
「朕はそう思う」
陛下は静かに述べられた。そのうえで玉座におられご自身の国のことを考えられた。
戦後東条英機は戦犯として処刑されその資質も人格も散々に言われてきた。それは遺族にすら及んだ。だが。
今ようやくだ、戦争が終わり久しくしてからだった。彼について確かなこと即ち真実が出てきてこう言われだしている。
「清潔な人間だったんだな」
「生真面目で軍規軍律にはことの他厳しかったのか」
「最後の最後まで陛下への忠義は失わなかった」
「裁判でも立派だった」
「確かに首相の器ではなかったが」
だがそれでもだというのだ。
「金銭にも清潔で」
「妾さんもいなくて」
「女の人には優しかったんだな」
「温かい声をかけていたのか」
「そうした人だったんだな」
今になって言われるのだった、そうして。
東条英機の名誉は次第にであるが回復されてきていてその真実の姿が知られる様になってきている。真実は必ず明らかになり正当な評価がついてくるものだ。それは戦犯として処刑された彼についても同じである。そして。
心ある人達は靖国神社を見てだ、こうも話した。
「あそこにあの人もいるんだな」
「ああ、東条英機もな」
「色々と問題はあっても日本の為に働いてくれた人だ」
「決して卑しい人じゃない」
この辺りパフォーマンスで原発を爆発させそのうえ責任逃れと証拠隠滅に徹底していると言われている輩とは違う。
「それじゃあな」
「靖国であの人の為にも手を合わせるか」
「そうされるに相応しい人の一人だ」
「それならな」
こう話して靖国に向かうのだった、東条は今は靖国神社にいる。ただ靖国に参拝している女性の方々は彼の女性に対する対応や配慮は知らないのではなかろうか。だが真実はこの通りだ。恐れられた人物は実は紳士であった。
意外なフェミニスト 完
2014・2・19
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