第一章
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第一章
待ち人
携帯に電話をかけた。しかしだった。
「まだ出ないの」
「そうなんだ」
茶色の長い波がかった茶色の髪を後ろでポニーテールにさせている背の高い女の子が答えていた。はっきりとした明るい顔立ちでかなりの美人である。特に高めの鼻に程よい形の口。大きくパッチリとした目と長い睫毛が目立っている。
服は上着はラフな赤いシャツで下は青いローライズのジーンズである。その脚の長さも見事なものだった。まるでモデルの様である。
その彼女が自分の緑の携帯を見て。浮かない顔をしていた。
「出ないよ、困ったな」
「どうしたんだろうね」
彼女の隣にいるやや小柄な黒い髪をショートにして青いロングカートを着ている女の子はそれを聞いて微妙な顔をしていた。目は切れ長で唇が紅になっている。
「秋元君」
「わからないな。ああ、そういえば」
ここでふと気付いた顔になったその彼女だった。
「鉄二って今アルバイトの時間だった」
「ああ、そうだったの」
「しまったな。悪いことしたな」
「そうね。出たくても出られないだろうし」
彼女はこう返したのであった。そして今度は友達の名前を呼んできたのだ。
「それで美優」
「ああ」
「これからどうするの?」
こうその彼女、真喜志美優に尋ねたのである。
「アルバイトって何時までなの?」
「六時までだったな」
美優はこう彼女、柊若葉に答えた。二人は同じ学校の同じ学部にいる友人同士なのだ。
「確かな」
「六時!?随分時間あるわよ」
若葉はそれを聞いて難しい顔になった。
「六時までって」
「今は。ええと」
ここで自分の左手のその腕時計を見る美優だった。その時間は。
「二時か」
「まだお昼よ」
こう返す若葉だった。
「四時間もあるけれどどうするの?」
「待つさ」
これが美優の返答だった。
「待つさ。それじゃあな」
「待つの」
「ああ、待つ」
はっきりとした返答だった。
「待つさ。四時間な」
「待つって言うけれど」
若葉はそれを聞いて難しい顔を見せた。そうしてその顔で彼女に話した。
「長いけれど。本当に」
「長いけれど待つさ」
また言う美優だった。
「待てばそのうち六時になるしな」
「よく言うわ。っていうか言えるわ」
話を聞いてこう言った若葉だった。
「四時間もあるのに」
「若葉はそれでどうするんだ?」
ここで若葉に対して問う美優だった。二人は今話をしながら街を歩いている。街は行き交う人でごったがえし実に賑やかであった。
「これから」
「どうするかっていうと」
そう言われてまずは難しい顔になる若葉だった。その顔で言うのだった。
「とりあえずは四時まではね」
「四
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