第八章
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第八章
「僕なんかでいいの?」
「潤君じゃなかったら駄目なのよ」
こう言葉を返す里香だった。その白い顔を真っ赤にさせて。
「今まで一緒にいて。そう思ってきたから」
「そう。じゃあ僕でいいんだね」
「ええ」
彼の言葉にこくりと頷くのだった。
「御願い。潤君と一緒にいたいの」
「有り難う」
里香のその告白を受けてまずは御礼を言ってきた潤だった。そうしてその里香に対して言うのであった。
「それじゃあ。これからもね」
「ええ。御願いね」
里香の告白は成功に終わった。これで全ては決まった。彼女は潤と交際することになった。その次の日もこのことを智代に対して語るのであった。
「それでね。今度の連休の土曜日だけれど」
「どうするの?」
「二人共お店お休みなのよ」
明るい顔で語っていた。その日のことを。
「だからデートするのよ」
「そうなの」
「そう、デートをね。公園で」
「公園でなの」
「駅前のあの広い公園あるじゃない」
そこでだというのである。
「そこでデートするのよ」
「遊園地とか砂浜とかそういう場所は行かないの」
「あそこお池にも花壇にも奇麗なお花一杯あるじゃない」
里香は明るい顔のままで彼女に告げた。
「だからね。そこでね」
「それでなの」
「潤君もお花が好きだっていうから」
彼女だけではないのだった。これもまた大きなことであった。
「だからなのよ」
「そうなの。二人でお花をね」
「どうかしら」
ここまで話したうえで智代に尋ねる。
「そこでのデートは」
「デート場所としては悪くないんじゃないかしら」
こう答える智代だった。自分の向かい側に座って上機嫌で話す里香に対しての言葉である。また顔を見合わせている二人であった。
「お花を見るっていうのもね」
「そう。それじゃあ」
「それからは何も言わないわ」
そのうえでこんなことも言うのであった。
「それからはね。あんたに任せるわ」
「私にって?」
「愛に駆け引きはいらないからよ」
昨日と同じ言葉であった。
「打算も計算もね。いらないから言わないのよ」
「だからなの」
「心をそのまま見せればいいのよ」
それでいいというのである。
「それでね。いいからね」
「それだけでなのね」
「昨日がそうだったんでしょ?」
里香のその顔を見詰めての言葉であった。
「あんたちゃんと告白して成功したんでしょ」
「ええ」
「そのままよ。それでいけばいいのよ」
こう言うのである。
「心をぶつければね」
「それでいいのね」
「そうすれば相手にも気持ちが伝わるから」
だからだと。智代は告げた。
「それでいいわよ。打算計算もいいけれど」
「愛は」
「それより上よ。ずっと上よ」
最後に里香
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