世話になった
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れに、ゲームに勝つ気はそれほど無い。ただオレの力を振るう機会が欲しいだけだ。アウル・ダンタリオンとのゲームでの収穫はオレの力をそこそこ発揮する事が出来た事だ。オレは途中まであのゲームが楽しかった。オレを化け物と見て遠ざけるのではなく、オレを調べ、対策を練って戦いを望んで来たアウル・ダンタリオンとのゲームが」
式髪だったとは言え、感覚はリンクしている。あの時、式髪が思った力を振るえる歓喜は本体であるオレも共有した事だ。
「なるほど、力を振るう機会が欲しいか。意外と子供らしいんだね」
「実際、子供だ。それに昔から自分の魔力と雷への適正が高い事は本能で分かっていた。だから、逆に周囲の事を考えて力を振るえなかったんだ。我慢してたんだよ。それをしなくていい環境を求めて何が悪い。だが、またあのアウル・ダンタリオンの様に精神的に傷を負わせようとする奴が居ないとも限らない。だから、オレ一人でレーティングゲームに参加する」
「そう考えるのは妥当だね。まあ、いいだろう。少しでも大人の世界の厳しさを知れるのなら。レーティングゲームの参加を許可しよう。最も、シーズンが始まったばかりだから来年からの参加になるし、最初は下位の大会にしか出せないよ」
「それで構わない。すぐに上まで上り詰めるだけだ」
オレの自信に満ちた言葉にサーゼクス様は不敵な笑みを浮かべた。
「そうかい、旅に出るんか」
「ああ、今まで世話になったな」
「かまへんよ。どうせ、この工房も余っとるもんやさかい。それでもたまにはこっちの方に来てラーメン食わせてんか?」
「ああ、それ位構わないさ」
「ほなら工房の鍵は渡したまんまにしとこか。ほんで、最初は何処目指すんや?」
「不良退魔師に誘われていてな、あいつが居候している屋敷にしばらく滞在させてもらう予定だ。何でも、妖怪屋敷らしいからな。黒歌達に友達を作ってやりたいからな」
「話を聞く限り、しばらくはゆっくりと心の傷を治したらなあかんやろな。あんなこんまいのに苦労ばっかりで、あんさんも辛い目に負うて」
「オレはまだ良い。ある程度、覚悟はしていたから。だが、黒歌達は本当に辛い目にあわせてしまった」
「そう思うんやったら、絶対に二人を放すんやないで。あんさんにまで放されてしもうたら壊れるで」
「分かっている。絶対に二人は放さないさ。というか手放したくない。オレ自身の為にも」
「せやな。あんさんも苦労ばっかりで、ゆっくり休むとええわ」
しばらくすると荷物を纏め終えた黒歌達がやってきたのでマントで抱き上げる。ここから不良退魔師が居候している場所までは距離があるから、空を飛んでいく予定だ。
「すまんな、銀術士。世話になった。またな」
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