マクロスF
0691話
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「ミハエルッ!」
ギリアムが赤いバジュラに握りつぶされたその瞬間、俺は咄嗟にミハエルへと通信を入れていた。だが……
『駄目だ、ここからじゃ遠すぎる! 射程範囲外だ!』
悔しげなミハエルの声が聞こえて来る。ちっ、だがここで無理をして……ん?
憎々しげにバジュラへと視線を向け、とにかく近付こうとファイターでバジュラの方へと近付いていく。幸い敵は他のバジュラの倍近い大きさとは言っても1匹だけだ。それなら数の差もあるし、どうにでも対処は出来る。そんな思いでバジュラの下へと向かっていると、ふとバジュラのすぐ側に人影がある事に気が付く。どうやら逃げ遅れた一般人がまだいるらしい。
「ちぃっ、ミハエル、射程範囲に入っても射撃はまだするな! バジュラの足下に逃げ遅れた一般人がいる! 俺がバジュラに攻撃を仕掛けてあの場所から引き離すから、ルカが一般人を避難さ……」
『ランカちゃん!?』
俺が最後まで告げる前に、ミハエルの放った驚愕の声が通信越しに聞こえて来る。
ランカ? ミハエルの知り合いか? いや、女好きのミハエルの事だから、それも不思議じゃないが。
「ミハエル、お前の知り合いか? なら助けるのを……」
『違います! 彼女はランカ、ランカー・リー、オズマ隊長の妹です!』
「……何?」
ルカのその言葉に、思わず間の抜けた返事をする。いや、確かにオズマには妹がいると以前聞いた覚えがある。その時、俺がこの世界に転移してきた時の状況を知っているオズマが、俺に対して絶対に妹に近付くなと半ば本気の目で脅されたのも事実だ。
「何だってこんな時に……幸い、バジュラはそのランカとかいう女に気が付いていない。今のうちに何とか助け出し……おいおい、マジか」
ギリアムを握りつぶした後はあらぬ方向を見て動きを止めていたバジュラだったが、不意にランカとかいうオズマの妹の方へと振り向き、1歩を踏み出す。
「多少の危険はしょうがない、か。ミハエルッ!」
俺の後を付いてきている筈のミハエルに声を掛けるが、戻って来るのは舌打ち。
『ちっ、駄目だ。ランカちゃんが近すぎる! ここから撃ったりしたら巻き込まれる!』
「だが、このままだとランカとかいう奴がバジュラに殺されるぞ。それなら一か八かで……何!?」
ミハエルに攻撃を促したその瞬間、予想外の事が起こった。ギリアムが乗っていたはずのVF-25F、パイロットが死亡していた筈のその機体のコックピットが閉じており、赤いバジュラへと突貫していったのだ。
『おい、アクセル!』
ミハエルの驚愕の声。その声を聞きつつも、視線を地面へと向ける。
そこにあるのは間違い無く軍用EX-ギアの残骸だ。バジュラの力で思い切り握りつぶされており、顔ですら誰の者だったか
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