第百三話
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「さて、と・・・今だ、アテ!」
「はい!」
そして、自分自身もまつろわぬ神であるためかあまり動揺していなかったアテは、ヒルコの背後に回り込んでいた。
そのまま背中に片手を当て、
「狂乱よ、その力を私のために表し、力を狂わせよ!」
力の狂乱の権能。それを、ヒルコへ直接たたき込み、一瞬で離脱する。
ヒルコはそんなアテに対し、太陽の焔を放とうとするが、
「ぬ・・・おおお!?」
それは、ヒルコ自身を焼き始める。
アテが放った権能。それは、相手の力を狂わせる権能。それは神、神殺しの権能を狂わせ、使えばコントロールを失う、というもの。
直接の接触が必要となるため、二度目以降は使うのが難しくなってくる権能なのだが・・・むしろ、アテを警戒してくれるのならそれ以上に都合のいいことはない。
そんなことを考えながら俺は走り、ヒルコの体に手を当て、
「狂乱よ、その力を俺のために表し、力を狂わせよ!」
先ほどアテが使ったのと全く同じ権能を使い、ヒルコが持つエビスの権能を狂わせる。
「神代武双、キサマも!」
「いつ、俺のコピーの権能が一度きりのものだといった!警戒するのはアテ一人じゃねえぞ!」
そう言いながら手刀をよけ、ヒルコの注意がこっちに向いた瞬間に、
「狂乱よ、その力を私のために表し、力を狂わせよ!」
「唸れ、打ち砕け、ウコンバサラ!」
ヒルコの背後から迫ったアテが狂乱の権能で鋼の体を奪い、ナーシャが右から忘れ去られた雷神の雷鎚でぶっ飛ばす。
いや・・・鋼の体を失い、代わりに流動体へと変わったヒルコは、ウコンバサラの威力を完全に逃がしていた。
「ちくしょう・・・使える力が多いってのは、ここまで面倒なのかよ!」
「ですが、まだやりますよ、武双」
そう言いながらアテは俺の手を握り、狂乱の権能を使ってすぐに解除する。
プロメテウスの権能は、条件を満たせば何度でも使うことができる。同じ権能でももう一度やり直す必要があるのだが・・・使う対象が仲間である場合、こうして手伝ってもらうことで簡単に条件を満たせたりする。
今回なんて、アテに関する知識はアテの頭の中から直接だし、お互いの手を触れて権能を発動することで、すぐに条件を満たせる。
「まさか、オレの権能を四つも使えなくしてくるとは。驚いたぞ!」
「そりゃ、そうだろうな。つっても、この権能もこれだけじゃないみたいだが・・・」
これで全部じゃないとか、もう何ができるのか分かったもんじゃない。
「さて、と・・・どうしたもんかな」
「これだけ使えなくしても、まだまだ戦ってきそうですしね」
「というか、ヒルコの持つ権能を全て封じるのは無理だろう・・・ヒルコの知識は全て渡したは
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