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【艦これ】くちくズ
第03話 任務:電、深海棲艦駆逐イ級を育てよ!
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キュは激しく鳴きだし、電の胸から飛び降りる。

「あ、イキュちゃんッ」

 イキュは駆逐ニ級に走り寄る。
 電はとっさにイキュを追いかけようとしたが、足を動かすことができなかった。
 母親の元に戻ろうとするイキュを止めることなど、電にはできない。
 電は唇を噛みしめながら、流れ落ちようとする涙を必死にこらえる。

「電……」

 肩を震わせながら、何かに耐えている電。
 しかし雷にはどうすることもできない。
 電とイキュを見守ることしかできない。

“イキューーーン!”

 イキュは電に向かって長い鳴き声をあげた。
 まるでさよならを言っているかのようである。
 そんなイキュに向かって、電はにっこりと笑顔を見せる。

「よかったのです、イキュちゃん。お母さんと会えて」

“イキューーーン”

“ニキューーーン”

 イキュと駆逐ニ級はどぼぉんと海に飛び込んだ。

「電……」

 海に向かって笑顔を向けながら立ち尽くしている電。
 その頬には、いくすじもの涙道が通っている。

「ばいばーい! イキュちゃーん! 元気でねー、ですー! ……うわあああぁぁぁんッ!」

 遂に泣き出してしまう電。
 そんな電の頭を雷は優しく撫でてやる。

 ――――――

 ――――

 ――

 ひとしきり泣いた電は、落ち着きを取り戻して海を見つめている。

「もしかしてイキュのやつ、大きくなったら私らと戦うことになるかもだぞ?」

「そのときは全力で闘うのです」

「そっか、お前って変に強ぇーのな」

(任務達成)
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