第03話 任務:電、深海棲艦駆逐イ級を育てよ!
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ている。
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海辺のコンテナ置き場は人の出入りが極端に少ない。
電はきょろきょろと辺りを見渡しながら、コンテナ置き場の奥の方へと入っていく。
そこには子供の手作り感たっぷりな小屋が建てられている。
そして中にはボロ毛布にくるまっている駆逐イ級がいる。
「イキュちゃん、ごはんを持ってきたのです」
電の声が聞こえたイキュは、イキューンと鳴いて小屋から顔を出す。
電がアルミ製のボウルに燃料を注ぐと、イキュは嬉しそうにぺろぺろと舐め飲む。
そんなイキュを見て電はほっこりとした笑顔を浮かべ、イキュの頭を優しく撫でる。
「イキュちゃん、また来るのです。ここで大人しくしてるのです」
“イキューン”
電は後ろ髪を引かれながらも、きょろきょろと辺りを見ながらコンテナ置き場を後にする。
「やっぱりなぁ、電のやつ……しょうがねーなぁ」
コンテナの上で腕組みしている雷は、やれやれな顔をしながら電を見下ろしている。
「このまま何も起きなきゃいいけどなぁ」
雷はぴょこんとコンテナから飛び降りる。
そして困ったように頭を掻きながら、電に見つからないように自室に向かう。
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こっそりとイキュを飼いだした電は、自分に配給された燃料を密かに持ち帰り、イキュのごはんにしていた。
そして毎日3食、欠かさずにイキュにごはんをあげている。
例え雨が降ろうとも、例え遠征後の疲労度マックス状態であっても、例え出撃後の大破状態であっても、イキュへのごはんは欠かさなかった。
そんな電を影から見守る雷。
このまま秘密を守り通し、いつまでもイキュを飼い続けていく……なんてことは不可能である。
こういった秘密は、ふとしたことで見つかってしまうものである。
案の定、その日は来てしまった。
「イキュ、ごはんなのです」
お昼ごはんの燃料を持ってきた電は、小屋に向かって声を掛ける。
いつもならイキューンと鳴いてひょっこりと顔を出すイキュなのだが、鳴き声も無ければ顔も出さない。
不審に思った電は小屋に頭を突っ込む。
「あれ? イキュちゃん?」
そこにイキュの姿が無かった。
いつもは毛布にくるまって大人しくしているイキュなのだが、どういうわけかイキュがいない。
「い、イキュちゃん!」
電は慌ててイキュを探しだす。
「イキュちゃーん! イキュちゃん、どこなのです!?」
必死になってイキュの名を呼んで探す電。
そんな電を止めるように雷は電の肩を掴む。
「バカ電ッ! 名前なんか呼んだらみんなにバレちゃうだろ?!」
電はハッとな
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