第03話 任務:電、深海棲艦駆逐イ級を育てよ!
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電は駆逐イ級を抱きかかえながら泣き出してしまう。
“イキューン”
そんな電の様子を知ってか知らないでか、駆逐イ級は無邪気に電の頬をぺろぺろする。
「イキュちゃん……くすぐったいのです……」
はた目から見ると、まるで子犬と戯れるいたいけな少女であるが、実際には駆逐イ級を抱きかかえる艦娘である。
とはいえ、駆逐イ級は電にとても懐いていて、危害を加えるような様子もなく素振りもない。
倒すべき敵を抱きかかえる妹……あまりにもシュールな状況に雷は困惑する。
「……電……まさかとは思うけど……そいつをどうする気だ?」
嫌な予感がしつつも、雷は電に質問をする。
「飼うのです!」
嫌な予感が的中してしまい、雷は大きく溜息をついた。
「電……それは無理だな……絶対に無理だって……お前、内緒でそいつを飼う気か?」
電は雷をまっすぐに見つめながらウンと頷いた。
「でもなぁ、私にバレちゃった時点で、もう内緒にしておけないぞ? さすがにこれは……黙っておけないって」
雷は複雑な気持ちになりつつ、電を諭すように話す。
「なら……提督に言ってみるです……」
「言ってみるって、提督にか?! 深海棲艦を飼いたいですって? 無理だって絶対に」
「言ってみないとわからないのですッ!」
電は部屋の扉をバァンと押し開け、イキュを抱きながら駈け出した。
雷は溜息をついて、ぽそっとつぶやく。
「まったく、大人しいくせに頑固なんだよなー、電は」
――――――
――――
――
「ダメだ! うちでは飼えないぞ!」
提督に怒鳴られてしまい、電はビクンと身をすくめる。
「電、深海棲艦はイヌやネコとは違うんだぞ? 生態調査という意味で捕獲するのであればともかく」
「なら、生態調査ということで飼うのですッ!」
「だから飼えないって……それに生態調査となれば、様々な調査、実験をされた末に、最終的には解剖されてしまうだろう」
電はイキュをぎゅうと抱き締めて提督を睨みつける。
提督は溜息をつきながら困り顔になっている。
そんなふたりのやり取りを見ていた秘書艦である陸奥は、にっこりと笑みながら46センチ三連装砲を撫でる。
「この子、この場で沈めちゃいましょう」
46センチ三連装砲の砲口をイキュに向ける陸奥。
「うわぁーんッ! ダメなのですッ!」
電は大泣きして司令官室を飛び出して行ってしまう。
「陸奥……脅かしすぎだ」
「だって、飼えないのは本当でしょ?」
「それはそうだが……あれで諦めてくれるだろうか」
提督はやれやれと大きく溜息をつきながら、後味が悪そうに苦笑いし
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