暁 〜小説投稿サイト〜
【艦これ】くちくズ
第03話 任務:電、深海棲艦駆逐イ級を育てよ!
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 ここは某国、某県、某市、某港にある、とある鎮守府。
 この物語は艦娘と深海棲艦との凄まじいまでの激戦の記録……ではない。
 戦闘さえなければ、艦娘達も普通のお年頃な女の子。
 今日も提督と艦娘達によるほのぼのとした一日が始まる。

 ぽかぽか陽気な昼下がり。
 お昼ごはんを食べたばかりな雷と電は満腹気分に浸りながら、ベッドの上でごろごろしている。

“イキューン”

 どこからか生き物の鳴き声が聞こえた。

「??……気のせいか?」

 雷はいぶかしげな顔をするも、気を取り直してンーッと伸びをする。

“イキューン”

 雷はバッと身体を起こす。
 何かいる! そう思った雷は周囲をきょろきょろと見渡す。
 すると、そろそろ足でクローゼットに向かう電を見つけた。
 雷は妙な行動をとる電の様子を観察すべく、黙って電を見つめる。

「ぬき足、さし足、しのび足……なのです」

 そうつぶやきながら、物音をたてずに気配を消して歩く電。
 しかし声を出しながら歩いている時点でバレバレである。
 なんともはや、ひどく残念な感じになっている電。
 とっくに雷にバレているとも知らずに、電はクローゼットの前にまでやってきた。
 そして、そぉっと扉を開ける。

「イキュちゃん、シーッ、なのです……雷お姉ちゃんに見つかってしまうのです……」

「ほぉーッ、声の主はイキュちゃんっていうのかぁ」

 突然背後から雷の声が聞こえて、電はビクッと飛び跳ねる。
 クローゼットの奥の方に、ダンボール箱に入った生き物が見える。

「だ、ダメなのですッ! 何もいないのですッ!」

「何がダメなんだ? 何かいるから何もいないって言うんだろ?」

 クローゼットの前で立ちふさがる電を押しのけ、雷はクローゼットに首を突っ込んでダンボール箱の中身を覗き込む。

「……え? 何だこいつ……って、ぅうわあああぁぁぁッ!」

 雷はずざぁと素早く後ずさり、クローゼットにいる生き物に向かって12.7センチ連装砲を構える。

「だ、ダメなのですッ!」

 電はとっさにダンボール箱にいる生き物を抱きかかえ、素早くその場を離脱した。

「電ッ! お前、それ、深海棲艦の駆逐イ級じゃねーか!」

 電はぎゅうと駆逐イ級を抱き締めながら、雷から守るように自分の身を盾にする。

「確かに深海棲艦なのです……なのです……でも、この子は……大丈夫なのです……」

 電は声を震わせ、涙目になって駆逐イ級をかばう。

「何考えてんだよ、バカ電ッ! 深海棲艦は敵だぞ! 私らはそいつらと戦うために、この鎮守府にいるんだぞ!」

「……そ、それでも……この子は大丈夫なのです! この子は大丈夫……大丈夫なのです……」

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ