第02話 任務:はじめての大型艦建造!
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
繰り返します。建造完了です」
“ばしゅぅぅぅうううん”
白煙のような蒸気と共に、その艦娘は現れた。
しかし、もくもくと立ち込める蒸気に姿が隠されてしまい、提督はじれじれにじらされる。
提督は蒸気に映し出されているシルエットに向かって声を掛ける。
「ようこそ、我が鎮守府へ! さっそくだが、自己紹介をお願いする!」
「あ、えと、そ、そうですか? で、ではぁ」
どことなく間延びした声で、恥ずかしそうに答える艦娘。
「初めまして……三式潜航輸送艇まるゆ、着任しました」
蒸気が消え去り、真っ白いスルール水着に身を包んだ極端に小柄な少女が姿を現した。
周囲にはシーンとした無音とも言えるほどの静寂が流れる。
「……聞いてない」
「え?」
「……聞いてない……聞いてないぞぉぉぉッ!」
提督は肩を震わせながら天に向かって吠えた。
「え?聞いてないって……そんなあ!」
まるゆは涙目になって身をすくめる。
吠えた提督は真っ白になり、完全に燃え尽きてしまった。
「提督、いったいどんな分量で建造したんですか?」
真っ白になって「あああああああ」としか言わなくなった提督に歩み寄る陸奥。
そして提督が手にしているメモを覗き込んだ。
そこには“1500/1500/2000/1000”と書かれていた。
「あー、最低値ってやつですねー」
呆れ顔になってヤレヤレと溜息をつく陸奥。
「提督が最低値ッスねー」
意地悪な笑みを浮かべながらジト目で提督を見つめる鈴谷。
「テートクぅー! 建造時間17分の時点で、おかしいと思いなヨー!」
金剛は豪快ほがらかに笑いながら提督の背中を殴打する。
“ずべしゃぁ”
もはや魂が抜けてしまった提督は、力無く地面に倒されてしまう。
そんな提督の反応を見て艦娘達は溜息をつき、わらわらと散ってまるゆの歓迎会を始める。
「マイク音量大丈夫? チェック、1、2……よし。ようこそ、まるゆちゃん、私達の鎮守府へ」
霧島は花束をまるゆに渡した。
「あ、ありがとうございますぅ」
艦娘達は間宮が用意したご馳走を頬張りながら、パチパチと拍手をする。
「あああああああ」
提督は明後日の方向を見つめながら、生気のない声を漏らし続けている。
艦娘達はそんなポンコツになった提督には見向きもせず、きゃいきゃいと黄色い声を上げながらどんちゃん騒ぎが始まった。
もはや歓迎会というよりはお祭り騒ぎである。
酒も入っていないのにここまで乱れ騒げるのかと驚嘆してしまうほどに、艦娘達は騒ぎに騒ぎ、はめを外しに外し、全力で乱れに乱れた。
――――――
――――
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ