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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 第8話 「チョコは騒動の種?」
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、これはもしかして!」
「か、可能性はゼロではないが早まるなユーリ。あ、あの本の虫、仕事ばかりに打ち込んでいたシュテルが半年ほどでそこまで変わるとは思えん!」
「王さま〜、話が見えないんだけど?」
「言っても貴様には分からんだろうから黙っておれ!」
「聞いただけなのに何か怒られた!?」

 周囲も俺のように何かしら思って騒いでいるようだが、シュテルが「食べて感想を聞かせてください」とまるで答えを迫るかのようにチョコを渡してきたために意識する余裕はなかった。戸惑っていた俺はチョコを受け取ってしまい、促されるままに包装を外して箱に手をかける。

「…………」

 中身を見た俺は絶句、というより反応に困ってしまった。
 シュテルがくれたチョコは実に凝ったデザインをしている。具体的に言うと恥ずかしそうにしながらもチョコを渡そうとしているディアーチェ、といったところだろうか。ご丁寧に「か、勘違いするな。チョコが余っていたから作っただけよ」とまで書いてある。
 ……シュテルが凝り性だったことは知っていたし、味の方は心配するまでもなく美味いんだろう。でもこれは贈り物としてどうなんだ。当人が近くにいることもあるが、いなかったとしても食べづらいんだが。

「何だそれは!?」
「チョコですが?」
「そんなことは分かっておるわ! 我が聞いておるのはそんなものをいつ作ったかということだ。我もあの場にいたが、そんなもの貴様は作っておらなかっただろう!」
「それは……乙女の秘密です」

 指を唇の前に置き笑みを浮かべながら言うシュテルは可愛らしくもあり、淑女的な素養もあってか美しく見えた。
 だがそれ以上に俺はディアーチェのほうが気になってしまった。シュテルの言動に彼女の堪忍袋の緒が切れたような音がしてならなかったからだ。

「えぇい、貴様という奴はどこまで我を愚弄するつもりだ!」
「愚弄などしていません。私はディアーチェのことを尊敬しています」
「心がこもっていない声で言われても信用できるか!」
「……ディアーチェは私のことを信用してくれていないのですか?」
「ぅ……い、いや信用していないわけではないが」

 シュテルの潤んだ瞳と弱々しい声にディアーチェの勢いは急激に衰えた。
 個人的にディアーチェは王さまのような言動だが優しい性格をしており、シュテル達のことを大事に思っていると思う。そこが彼女の良いところでもあり、からかわれてしまう所以かもしれない。

「ところで、ディアーチェはショウにチョコを渡さないのですか?」

 話が一段落したわけでもないの話題を変えるとは、今日のシュテルは自由すぎる。そう思う一方で内容が内容だけに俺はディアーチェを意識してしまい、彼女は彼女で驚愕しつつ赤面した。

「な、なぜ急にそのよう
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