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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 第8話 「チョコは騒動の種?」
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ったが、運が良かったのか手や床が汚れることはなかった。
 言う必要がないことを必要だと判断したシュテルもシュテルだけど、自分から話を振ったディアーチェもディアーチェだな。
 そんな思いを抱きつつディアーチェを見ると、多少パニックを起こしていそうな顔をしていた。顔もさらに赤面している。姿ははやてとよく似ているが、心は彼女の方が綺麗というか純情かもしれない。

「まったく……シュテル、ここ最近のお前は少し人のことをからかい過ぎだと思うぞ」
「…………」
「何だよその顔」

 シュテルはどことなく面白くなさそうな顔をしている。状況から考えて悪いのは彼女であり、それは彼女自身も分かっているはず。なのにどうして今のような顔をするのだろうか。

「ショウさん、多分シュテルは……えっと、やきもちを焼いてるんじゃないでしょうか」
「やきもち?」
「はい。ショウさんはそのつもりはないと思うんですけど、シュテルと比べるとディアーチェに優しい感じがしますので。それに付き合いの長さはシュテルの方が長いので、ふたりが親しくしていると面白くないのかなぁと」

 ユーリの言葉は一理ある。俺達の年代問わず、親しい相手が知らない人間と楽しそうにしているのを見ると嫉妬めいた感情を抱くことはあるのだから。
 だがシュテルは前に自分からディアーチェ達のことを俺に教え、いつか会わせたいといったニュアンスの言葉を言っていた気がする。そんな彼女が嫉妬するというのは考えづらい。

「ユーリの意見は一理あるが、シュテルでは考えにくいような気もするがな」
「ディアーチェ、そうでもありませんよ」

 シュテルの発言にディアーチェだけでなく俺まで内心驚愕する。
 全く関係はないのだが、レヴィは先ほどから困ったような顔で俺達の顔を何度も見ている。どうやら話に付いて来れていないようだ。
 シュテルは綺麗に包装された箱を取り出すと、俺の目の前まで近づいた。こちらが言葉を発する前に先に彼女が口を開く。

「私も女の子ですから」

 俺は差し出された箱よりもシュテルの浮かべた微笑みにドキッとした。
 えっと……今日はバレンタイン。おそらくどういう日なのかをシュテルは知ってる……それで箱の中身はチョコだろう。
 少しテンパってしまっているが、そこまでは理解できる。問題なのはシュテルがどういう意味でチョコを渡しているかだ。
 シュテルとは仕事上でも付き合いがあるだけにはやて達のような意味で渡している可能性が高い。だが流れから判断すれば、バレンタイン本来の意味のものを考えられる。彼女のことは嫌いじゃないが、正直に言って恋愛というものはまだ俺には分からない。後者の意味だった場合、俺はどうすればいいのだろう。

「ディアーチェ、チョコを作ってるときから思ってはいましたけど
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