初めての都市
シキの苦悩
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いつも飄々と笑っているバンクルトの真剣な表情に、都市長は渋々諦めた。
ちなみに、都市を破壊するのは嘘だが、脚の一本ほど叩き折ろうと考えていたのは事実だ。
それで騒ぎは収まるはず……そう思っていた時期がシキにもありました。
だが、シキに弟子入りしたいという武芸者が増えた。特に幼い武芸者の親がこぞってシキを訪ねてくる。数人程度なら別にいい、だが百人単位で来るのは勘弁して欲しかった。
朝、宿舎から出たら大勢の武芸者が頼み込んでくる光景は、異常と言っても良かった。
「交叉騎士団の合間でいいですから!」
「どうか、どうかウチの息子を!」
「あぁ、娘と仲良くなってもいいですよ!」
親たちの必死の形相にシキは折れた。というか、妥協した。
とりあえず入学試験のようなものを執り行い、気に入った奴を鍛えるということにしたのだ。幸いのことながら、シキは才能を見抜く力にも恵まれていた。
試験は簡単、殺す気で打ち込んでこい、というシンプルなものだった。
希望者は二百人弱、さすがに多すぎるので五十人に分けて行った。
そして二百人の子供のうち、残った十五人をシキは弟子として取った。期間は四ヶ月、ちょうど交叉騎士団との期限と重なる。
後に、この十五人の内、六人ほどがヨルテム最強の戦闘部隊サイハーデンになるのだがそれはまだまだ先の話だ。
「今日はここまで。後は各自の判断で……誰も起きちゃいねえ」
シキはため息をつきながら、床に倒れている弟子たちを見る。
その中にはもちろんナルキも含まれている。息も絶え絶えと言った様子で、活剄で身体を癒すしかない。
彼らはシキと手合わせしたのだが、武器も持たないシキに圧倒されていた。最初は嫉妬していた弟子もいたが、今ではそれもできないほどの実力差を思い知らされている。
「たく、俺の師匠なら衝剄撃たれて殺されかけるぞ」
シキの師匠と聞いて、一同はとんでもない化け物だなぁ、と想像した。まぁ合っているのだが。
あまりにスパルタなので、既に三人ほど脱走した。そして二人はシキの考え方に合わず、自分から辞めた。
シキは最初、サイハーデンの教えを弟子たちに教えた。
『いいか? 戦場に武芸者の高潔さなんていらない。いるのは、生きる努力と自分の実力だけだ』
誰もが顔を顰めたが、こんなものだろうとシキは思う。
戦場に出れば嫌でもわかるのだが、出てない彼らを責めるのはお門違いということはわかる。実際に体験してみるまでなんでもわからないものだ。
「……ま、だだッ!」
そこに立ち上がる姿があった、ナルキだ。
目の焦点が合っておらず、気力だけで立っている状態だった。それでも立てたのに、シキは驚く。
「私は、立てるぞ!」
ナルキに触
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