第二章
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第二章
「だってそんな話聞いたことなかったし実際にあの娘がそんなふうに男の子と会ってたり話してたりとかそういう場面誰か見たり聞いたりしてる?」
「いえ、全然」
「それは」
皆その言葉に首を横に振る。誰もそうしたことに対して心当たりはなかった。それでは答えは自然と出てしまうものであった。
「じゃあいないのね」
「その可能性が高いわね」
「だからよ。いないと思うわ」
結論として出された言葉であった。
「まあ彼氏がいなくても兎は兎だけれどね」
「それはね」
「確かにね」
兎の明るさと朗らかさはそのままだというのである。彼女はここでもまさに太陽やそうした明るい存在と考えられていたのである。
「きっと楽しい付き合いになると思うし」
「その時を楽しみにしておこうかしら」
「そうね」
そのうえでこんな話をする皆だった。誰もが兎を底抜けに明るくそのうえで面倒見のいいしっかりとした女の子だと思っていた。しかしそれは彼女の一面だけを見ている考えだった。
ある時兎がクラスの女の子達に対して言ってきたのだった。その丸く大きな目をさらに丸く大きくさせたうえで言ってきたのである。
「ねえ皆」
「んっ、どうしたの?」
「何かあったの?」
「あのね、ちょっと聞きたいことがあって」
こう皆に言ってきたのであった。
「それでだけれど」
「聞きたいことって何?」
「何かあったの?」
「あのね、この前三組に転校生が来たじゃない」
次に皆に言ってきた言葉はこうしたものだった。
「あの安永昇君」
「ああ、彼ね」
「あのやけに運動神経のいい」
「いいと思わない?」
何時になく真剣な言葉であった。
「運動神経いいだけじゃなくて優しくて熱くて」
「らしいわね」
「性格凄いいいらしいわね」
このことも評判になっている転校生なのだった。人間はまず容姿や能力を見られるがそのうえでじっくりとその性格を見られるものである。彼もまたそうだったのだ。
「親切だし約束は守るしで」
「いい人らしいわね」
「だからね。私ね」
兎の言葉は真剣を通り越して最早切羽詰ったものにさえなっていた。
「考えてるんだけれど」
「わかるわ」
「そこから先はね」
皆ここで笑って彼女に言葉を返した。
「つまり告白したいんでしょ」
「そういうことよね。好きになったんでしょ」
「ええ」
その切羽詰った顔でこくりと頷いてそれを認める兎だった。
「そうなの。実は」
「やれやれね」
「本当だったなんてね」
皆兎のその言葉を聞いて温かい笑みになった。そうしてそのうえで彼女に対して言うのであった。
「わかったわ。それじゃあ」
「話。聞かせてもらうわ」
「有り難う」
皆の言葉を聞いて満面の笑顔になる兎であった。そうし
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