第十六話 黒蘭の力その六
[8]前話 [2]次話
「私もそうだけれど」
「そうなんだな」
「服は仕方ないにしても」
「ちぇっ、お気に入りのブラウスとブラだったんだけれどな」
薊はその切り裂かれてしまった赤のブラを見つつ舌打ちした。
「残念だよ」
「その気持ちはわかるわ」
「そうか、あんたいい奴だな」
薊は黒蘭の今の言葉に微笑んで言った。
「仲良くやれたらいいな」
「いえ、それは無理よ」
黒蘭は薊の微笑んでの今の言葉は否定した。
「私と貴女達はね」
「無理って、どういうことだよ」
「私達は二人で闘っているから」
だからだというのだ。
「貴女達とは一緒になることはないわ」
「おいおい、あんたも星だよな」
「双子星にしてもね」
北斗七星の中にあるというのだ、黒蘭もまた。
「その通りよ」
「じゃあ一緒に」
「星だからといって一緒にならないといけない理由はないわね」
「そう言うのかよ」
「ええ、私達は二人で充分よ」
「双子星だから」
ここで裕香が言う。
「貴女のお姉さんは」
「ええ、姉さんがミザールよ」
その星になるというのだ。
「そうなるわ」
「そうよね」
「私達は二人、その二人でね」
「戦っているのね」
「これまでも今もこれからも」
過去、現在、そして未来もだというのだ。
「そうしていくわ」
「八人で戦った方がいいだろうによ」
薊は黒蘭の主張が理解出来ず首を傾げさせてこう返した。
「わからねえこと言うな」
「二人の方が小回りが効くわ」
「大所帯よりもかよ」
「ええ、それにね」
「それに?」
「足手纏いはいらないわ」
こうも言う黒蘭だった。
「私達にはね」
「あたし達そこまで弱いか?」
「いえ、貴女の闘いを見ている限り」
黒蘭もそれは見ていた、薊の闘いは。
「強いわね、覚醒した力を上手に使い強くなってきているわね」
「そうだろ、足手纏いにはならないさ」
「戦闘力の問題ではないわ」
「数が多いからかよ」
「ええ、無駄な戦力はね」
それ自体がというのだ、頭数が多いと。
「私達にとって足手纏いにしかならないから」
「いらないっていうのかよ」
「何度も言うけれど私達は二人で充分よ」
「だからあたし達とは一緒に戦わないのか」
「そうよ、二人で戦うわ」
そうするというのだ。
「姉さんと私でね」
「あたし的にはそうは思わないけれどな」
「話すことはないわ。けれど」
「けれど?今度は何だよ」
「貴女達とは共闘しないけれど」
それでもだとだ、黒蘭は薊にこうも言った。
「敵ではないわ」
「敵は一緒だよな」
「ええ、怪人よ」
彼女達にしてもだというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ